「【アストリッド・リンドグレーンの児童文学が長く長く子供たちに愛される理由。】」リンドグレーン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【アストリッド・リンドグレーンの児童文学が長く長く子供たちに愛される理由。】
冒頭、老いたアストリッドの後ろ姿を映しながら流れる男の子の声
”何で、お婆さんなのに僕たちこどもの気持ちが分かるの?”
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アストリッドは18歳。両親は熱心なキリスト教徒で、躾に厳しい。
が彼らが、子供達に注ぐ愛の深い事が、冒頭の数シーン、特に家族で囲む食事風景を見れば分かる。
だが、アストリッドが街の新聞屋に文才を認められ、彼のもとで働く事になる。おさげ髪を切り(母親の言葉:地獄への片道切符、その後の展開を見ると言い得て妙である。)、今風のスタイルを身に纏うアストリッド。
今作で秀逸なのは、要所要所で挟み込まれる男の子の”アストリッドの本”を読んだ素直な感想の流し方である。
彼女は、親の深い愛の中で育てられながら、様々な”辛い”経験をし、”自分の子供とともに過ごす”今しかない時間”の大切さを知る。
その想い及び子供たちに気付いて欲しい事を”長くつ下のピッピ”シリーズ、”やかまし村の子どもたちシリーズ”に込めたからだ、と私は思う。
後の夫となるリンドグレーンもさり気無く”良い人”として登場するし、何より彼女が子供を連れて帰郷する場面、家族で教会で祈りを捧げる場面は沁みる。
<物語も勿論素晴らしいのだが、
今作で初めて観た”アルバ・アウグスト”の16歳から、19歳で出産した子を養子に出し、(養母マリーが又、良い。)再び引き取って一緒に暮らし始める20代前半までの表情の変化が素晴らしい。
デンマークの方なので、中々お目にかかれない可能性もあるが、是非次作を鑑賞させて頂きたい女優さんである。>
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