「オムニバス的でフィクション満載」HOKUSAI バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
オムニバス的でフィクション満載
葛飾北斎の半生を描いた映画で柳楽優弥と田中泯のダブル主演。全4章に分けられており、前半2章で柳楽が北斎の青年期・中年期を、後半2章で田中が老年期を演じており、真ん中の壮年期が抜けている。1章が駆け出しの北斎を蔦屋重三郎が見出すあたりから、北斎が絵に開眼して画風を確立し蔦屋に認められるまで。2章が売れっ子となり結婚もした北斎に第一子が誕生するまで。3章は娘のお栄(葛飾応為)や弟子たちと暮らす北斎が中風を患い、旅に出て『富嶽三十六景』を生み出すまで。4章は友人の柳亭種彦が武士でありながら戯作をしたことで誅殺されたことにショックを受けた北斎が最後の絵?を描き上げるまで。
一つ一つのエピソードはそれなりに面白いんだが、それぞれの話がぶつ切りに並べられてる感じで上手く絡み合っておらず、1本の映画としての流れが悪い。映像の構図や演出などもちょっと古っぽいように感じたし、テンポも妙にゆったりしてて淡々とした作風なので途中からちょっと退屈してくる。北斎の史実にわからないところが多かったり、物語的面白味に欠けたためか創作部分がかなり多く、柳亭種彦の話なんてほぼフィクション。中風になった北斎が旅に出て帰ってきたらいつの間にか治ってるのも変。役者や美術は良いんですけどね。蔦屋や歌麿・写楽・馬琴らが出てきて、大河ドラマ『べらぼう』終盤や映画『写楽』とかぶる第1章が1番面白かったかな。そこもフィクション満載ではあったが。全体的にはつまらなくはないが面白くもないといったところ。
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