「画家老いて、見目は変われど、精神は不変」HOKUSAI スクラさんの映画レビュー(感想・評価)
画家老いて、見目は変われど、精神は不変
普段、画家の伝記映画は手当たり次第に鑑賞しているので、
その流れで本作も鑑賞。
思えば、日本の画家に関しては、TVでドラマ特番が組まれるぐらいで、伝記映画って珍しい気がする。
北斎がその目で捉えたものを表現するというブレない軸。
これが映画全体の演出にも北斎のキャラクターにも反映されていた。
以前、Twitterで「ようやくカメラの性能が北斎の目に追いついた」
として
富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」の波とカメラで撮影された波の
比較画像がバズってた。
(写真は北斎の画にそっくりでたしかに驚かされた。)
この北斎の目でしか捉えられなかった光景を
巧みに演出で表現しようとしているところがすごい。
ただ、演出は一部過剰なところもあったかなという印象。
風のシーンは良かったけど、ベロ藍、通称北斎ブルーのシーンは
そんなことするわけないでしょ!と思ってしまった。
(北斎ブルーって高価なのでは?と鑑賞中は勘違いしていたけど、
どうやら中国で量産が成功して価格が下がってきたあたりで北斎が使いだしたらしい。)
映画をきっかけに北斎の師弟関係やベロ藍の歴史とかを調べるきっかけにもなったので、研究心くすぐられ鑑賞後もたくさん楽しめる作品;)
余談
北斎の弟子として登場していた人物のうち何人かは名前など
明かされていなくて、誰なの?と気になって調べたけど、
明確な記録が残ってないみたいで、映画でもそこらへんは
「もしかしたら北斎に師事していたかもね」というスタンスで表現したのかな。
歌っていた男の子のモデルは誰なんだろうか…。
妖怪画を描いていたのは、北斎季親かな?
制作陣の皆さんに答え聞きたい!!