「話や関係性が入ってこない」HOKUSAI kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
話や関係性が入ってこない
浮世絵師の中で葛飾北斎は特別な気がしてしまう。人物画よりも風景画に有名な作品が多いからだろうか。そんな北斎の作品に触れた体験でインパクトが残っているのが子ども時代に観た「北斎漫画」という映画。樋口可南子とタコが絡む春画を描くシーンがキレイでエロくて強烈だったことを覚えている。
そうか、北斎が主人公の映画ってあれ以来になるのか。しかも主演2人のキャスティングもいい。そりゃ期待が高まるってもんだ。
2人とも絵を描くシーンが印象に残る。細い筆で繊細な線をさらさらっと描いていく。あの演出はなかなかだった。富嶽三十六景の版画が出来上がる行程もなかなか面白い。でも、それくらいだったかも。
全体的になんか話が入ってこない。エピソードをつなげただけのような…。登場人物の関係性も今ひとつ深みを感じないし。北斎が描きたいものを描く!というスタンスを守り通したって話でもないんだから感動しづらい。
期待していただけに残念だった。
タコと樋口可南子の絡みのシーンを強烈に覚えている「北斎漫画」の方が心に残る映画だったってことか(思春期の妄想をかきたてただけだとしても)。
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