劇場公開日 2021年5月28日

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「葛飾北斎の「青」が…」HOKUSAI 色彩先生さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0葛飾北斎の「青」が…

2021年5月31日
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鑑賞方法:映画館

単純

 北斎と言えば「青」‼︎
「富嶽三十六景」で「プルシアンブルー」とも呼ばれる青色絵の具の「ベロ藍」である。日本人のみならず世界の人々を魅了した、この青をどのように映画の中で魅せてくれるのか楽しみにしていた。なぜならば色彩学では、青は冷静、沈着、赤や黄色で躍動感や生命力などを表す。しかしながら、北斎の青は常識を覆すような生命体のパワーを作品から感じるからである。ところが、映画の青の使い方が雑で、この映画からはそのパワーは残念ながら感じなかった。素晴らしい役者陣、柳楽優弥の目力と田中泯の演技力だけでは北斎の作品のパワーを出せなかった。また、版元の蔦屋重三郎(阿部寛)の最初の白の羽織りはキャンバスを表し、喜多川歌麿の赤の着物も良いし、期待できると滑り出し良かった。しかし、歴史的背景からあり得ないのではないか?と思われる蔦屋重三郎(阿部寛)の全身、紫色の着物(奢侈禁止令からも商人が紫を使えるはずもなく)は丁寧さを感じる事ができなかった。映画パンフレットは良かったので気持ちは救われた。

色彩先生