「メルヘンチックな姿を借りた、奥深くて油断ならない物語」ジョジョ・ラビット ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
メルヘンチックな姿を借りた、奥深くて油断ならない物語
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「ナチス」というと冗談では済まされないタブー感が突き刺さってやまないが、本作は幕が上がるやナチュラルにその世界へと誘われる。子供の純粋さを利用して巧妙に忍びよるプロパガンダの恐ろしさが、このメルヘンチックなドラマから痛いほど伝わってくるのだ。そうした特殊構造を深く知るためにも、我々はこの映画を警戒するのではなく、まずは思い切って乗ってみるべきなのだろう。
思春期というものが純粋さから穢れへの移行期だとするなら、本作が描くのはその反転だ。少年が純粋だと思い込んでいたものは実は違った。彼は多くの大切なものを失う過程で、穢れの中から手探りで真実を見つけ出そうとする。真実とは何かを判断できる位置までたどり着こうと必死に手を伸ばすのだ。そういった意味での成長ドラマがここにある。上映中『ライフ・イズ・ビューティフル』のことを思い出していた。真逆の世界ではあるが、どこか通底している気がしてならない。
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