「デブは世界を救う」ジョジョ・ラビット 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
デブは世界を救う
まず最初に、僕はこう見えて(どう見えて)、デブです。
その僕から観た視点でのレビューです。
第二次大戦時代のヒトラーユーゲント。
ヒトラーの洗脳で脳内に別人格が生まれ、その「友人アドルフ」が緩やかにナチス思考へと誘導する中、弱虫ウサギのジョジョが、母が残した人間の善意の屋根裏の隣人により、大人になり、視野が広がり、洗脳から覚め、恋に落ちるといったストーリーは、数年前の「ライフイズビューティフル」にエンターテインメントと、センスの良いカメラワークに、ピリリと効いたサム・ロック、そして全てを優しく包み込むデブのヨーキーによって、観終えた後もすっきりとした希望に満ちる映画で、アカデミー脚色賞も納得の作品です。
以下、最愛のヨーキーについてつらつらと書きます。
訓練キャンプでのテントでジョジョと過ごすヨーキーの「僕は君の一番の親友だと思ってた」のに違ったと告げられた時の彼の愛くるしい表情。
手投げ弾の暴発で顔面崩壊したジョジョを見つめた時の彼のハッとした表情。
無事ヒトラーユーゲントとなったものの紙製のズタボロ軍服の愚痴りながらの後ろ姿。
米軍攻防時にぱったり会った時に挨拶をしたためにうっかり対戦車バズーカを落として暴発してあわや一大事になった時のやっちまった表情。
全てが終わって再開した時のジョジョと抱き合う時の表情。
彼のズレかけのメガネと愛くるしい表情で、そこが第二次大戦の末期の悲惨なドイツである事すら忘れさせてくれる。
そう、デブは救う。
少なくとも僕は救われました。
数時間前、アカデミー賞受賞のヨーキーのリアルタイムで喜ぶ姿がTwitterに流れましたが、劇中のヨーキーそのものでした。
感動の余韻に浸れるので探してみて下さい。
P.s. デブで良かった。