「笑えないコメディー」ジョジョ・ラビット こころいちさんの映画レビュー(感想・評価)
笑えないコメディー
この映画は、コメディーの手法によって逆に残酷さが際立つという新しさを持っている。
確かに前半は笑える部分が多く、戦争を滑稽にしていることに対し、違和感を感じる人がいるかもしれない。
しかし、だんだんとコメディーでは覆いきれない戦争の非合理性が姿を表し始める。決定的なターニングポイントは、途中から、存在感の強かった母親があまり写らなくなるところからだろう。
それまで少年の愛嬌に親しみを感じ、笑っていた観客は、あのシーンから全く笑えなくなるだろう。
後半においても、伏線の形でコメディーが残っているのだが、その周りの環境の残酷さがかえって際立つようになっている。
直感に訴えかけてくるような映画だった。
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