「子どもの目線だからこそ見える戦争」ジョジョ・ラビット showさんの映画レビュー(感想・評価)
子どもの目線だからこそ見える戦争
トロント映画祭で話題になり、アカデミー賞でも6部門でノミネートされている、タイカ・ワイティティ監督作を、渋谷シネクイントで鑑賞。
平日なのにほぼ満席。シネフィルっぽいお一人様が7割でしたが、カップルもちらほらと言った感じでした。
本作は、予告編くらいしか予備知識がなく鑑賞したのですが、予告編の印象と全く違う作品でした!
ハチャメチャ戦争コメディかと思ったら、こんなに泣かされるなんて!!!
まあ、「アレのことは隠しておきたい」ってゆうネタバレ注意案件なので、あんな感じの予告編になるのも納得です。
(…っと思っていましたが、いま予告編を見返してみたら、予告の段階から出てきてましたね。。。)
第二次世界大戦末期のドイツを、10歳のジョジョくんの目を通して描いていて、
(陳腐な言い方しかできませんが)いかに戦争が悲惨で無意味かをあざあざと見せつけます。
それはまるで、妹尾河童さんの「少年H」のよう!!
本作の白眉は、スカーレット・ヨハンソン演じるジョジョくんの母親と、ジョジョくんとのやりとりではないでしょうか。
どのシーンも印象深く、より一層映画の中に引き込まれます。
自転車・靴ひも・ダンス・食卓…、それら全てが物語をより一層色濃いものにします。
いままで演技派路線ではイマイチ当たり役に恵まれなかったスカーレット・ヨハンソンですが、本作を筆頭に2019年度は当たり役のオンパレードで、今後が楽しみな女優さんです。
また、監督タイカ・ワイティティ演じるヒトラー(!)とジョジョくんの掛け合いも、この映画を特異なものにしています。
心の中の代弁者として現れるのがヒトラーという歪さと、現れるヒトラー像がナチスの忌み嫌う黄色人種であるという歪さ。
それこそがジョジョくんの心のうちを象徴的に反映しています。
そして、なんといっても、アレ!!
アレ以降、「わあ!そうゆー話しだったんだ!!」って映画の方向性がドドドーッと変わっていきます。
ドタバタコメディかと舐めて観てたらエライことになりますので、
もうこれ以上情報収集はせずに、ぜひハンカチを忍ばせて観に行ってください。