「この悲しみは永遠と語り続けなければ」ジョジョ・ラビット SHさんの映画レビュー(感想・評価)
この悲しみは永遠と語り続けなければ
悲劇を笑い飛ばしてしまうような出だしに、正直、ものすごーく不安を覚える。これは単に史実をパロったコメディ映画に過ぎないのではと─。
結構笑えるけど、なんかお寒い・・・。これでは全然笑えない。それどころか、怒りさえ覚えるかもという危惧さえも・・・。
しかし、そんな心配が無用なくらい泣いた。これほどまでに悲しくて、戦うことが無意味に感じた戦争映画はない。
やったらやり返すような構図は全くない映画で、心のわだかまりが晴れることは全くないのだけれど、積み重なっていく不安や悲しみといった感情が何かのきっかけで決壊して、そこから最後まで自分の目からは涙があふれ続けた。
映像の美しさやコミカルさは、この悲しみを中和するためのものだと勝手に解釈。
こうやって風化させることなく過ちや悲劇といったことを語り継ぐことが重要なんだとつくづく思うと同時に、この作品の志みたいなものを強く感じた。
映像と音楽の調和度も素晴らしくて、そのせいで余計に涙が出た気がする。
色んな知識や工夫でもって、戦争を愚弄してくれた、素晴らしい映画だった。
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