「【光の星のウルトラマン】」シン・ウルトラマン　abuさんの映画レビュー（感想・評価）

目に“中の人用の覗き穴”はない。
時間切れを示すカラータイマーもない。
口があるのに、「シュワッチ」とも「ジャ！」とも喋らない。
子供の頃に夢中で観たあのウルトラマンとは、確かに姿も作法もまったく違う。
しかし本作には、初代ウルトラマンが秘めていた“核心”がより濃く宿っている。
──人類の環境破壊、傲慢さ、争い。
──そして、いざとなれば“神頼み”をする滑稽さ。
こうした皮肉を背景に、光の国から来た戦士が、人類を愛し、自らを顧みず戦う。
その精神こそがウルトラマンであり、確かに画面の中に存在していた。
エヴァンゲリオンの影響を感じる瞬間こそあるが、間違いなく“ウルトラマン”だった。
子供の頃、唯一ウルトラマンを倒した怪獣・ゼットンの恐怖。
そのトラウマを鮮やかに蘇らせてくれた、すごい作品だった。