劇場公開日 2022年5月13日

「倍速無用のラピュタに匹敵する無駄のなさ」シン・ウルトラマン 裸のチェーホフさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0倍速無用のラピュタに匹敵する無駄のなさ

2023年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

楽しい

シン仮面ライダーにガッカリしてしばらく経ってから何故か再視聴したくなった。
劇場でもその後アマプラでも何度か観なおしていたのに、1年ぶりに見返すと何故かシンゴジより気楽に観られて楽しくなっていた。1年前はシンゴジより下に思えていた今作だが、シン仮面ライダーを合わせて順番を付けようとすると一番好きかもしれない。
シン仮面ライダーはまるで世界に主要人物しかいないんじゃないかと思えるほどの狭さが気になってのめり込めなかった。制作陣はその辺は脳内保管しろといいたいのかもしれないが、救われる庶民を全く描写しなければ水戸黄門だって成立しない。その点シンウルトラマンは最低限だが世界を描けていたと思う。この最低限という匙加減が全てにおいて絶妙な映画だったように思う。上を見ればキリがないが、5体の怪獣を描写し、倒すというメイン部分を時間内にちゃんと魅力的に組み立てることが出来たのは特筆に値する。そのそれぞれをもっと盛り上げようと思えば時間は長くなるし、アクションやドラマパートは際限なくくどくなる。倍速視聴をする必要がないくらい無駄なく魅力だけを煮詰めた作品として、ラピュタに匹敵するのではないだろうか。

裸のチェーホフ