「オタク的ギャグの乱れ打ち」シン・ウルトラマン とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
オタク的ギャグの乱れ打ち
よく言えば、通好みのネタがそこかしこに。
元祖『ウルトラマン』系のネタは、他の方のレビューを参考にしていただくとして。
個人的にはまったのが、そのチープ感。
ソフビを飛ばしている?とか、
切り抜いた変身写真を、アニメーションの如く徐々に大きくしていくだけでなく、小さくなっていくシーンとか。
嬉しくなってしまうリスペクトに溢れている。
それだけでなく、本歌取り・借景の要領なのか、
この役者を使うことで、他作品のイメージを思い出させて「ぷぷぷ」となるシーンも。
山本氏と西島氏とくれば『きのう何食べた?』が浮かんできてしまう。こじゃれた居酒屋で密談する相手こそ違うが、画面の中にすねたジルベールを探してしまう。
田村達が各国のエージェントに監視されるシークエンスがあるが、演じる西島氏も公安警察等スパイがらみの映画に出ているし。
長澤さんは『コンフィデンスマン』の、詐欺師的なうさん臭さを振りまいて、物語をかく乱させてくれるし。
田中氏はどうしても『八日目の蝉』の不倫男のイメージが抜けなくて、あちらにもこちらにもいい顔していそう。
嶋田氏は『謝罪の王様』と同じく、国難に対し誠実に悩む総理大臣。『謝罪の王様』とは違い、総理大臣のパフォーマンスはなかったけれど。それだけでも嶋田氏のファンとしてはうれしいが、実相寺監督の『帝都物語」で怪人加藤を演じて、強烈な映画デビューを飾った嶋田氏がこの映画にも出ているって!いつ「我を崇めよ」と豹変するのかと期待してしまった(映画が違うってWWW)。
『シンゴジラ』関連も至る所に散りばめられているし。
と、トリビア的なネタでは楽しめるものの、物語パートは薄っぺらい。
浅見が着任早々、神永に”バディ”を強要するが、”バディ”って、二人で仕事すれば”バディ”なの?お互いが一緒に行動する中で徐々に信頼していくものなのではないか。”信頼”を安売りして押し付けるのって詐欺師の常とう手段…。
セクハラショットを問題視しているレビューもあり、賛同するが、やたらなボディタッチも不快。
映画の中では数値化されないとされる臭覚は意表をついたネタだと思っているのかもしれないが、数値化されているよ。
全部”おもしろい”ネタだと思っているところがげんなり。
外星人が、地球の人類の精神発達の幼さを指摘し、排除しようとするのは、
手束先生の『ワンダー3』を始め、ウルトラシリーズでも使い古されたネタだし、
ウルトラマンの地球人愛も今更なテーマだし。
(ちゃんと踏襲して制作されていることは嬉しい)
"らしい"台詞でまとめるのではなく、もう少し脚本を練って欲しかった。
機内鑑賞。
大画面で見たら、音響の良い映画館で鑑賞したら評価は変わるのかなとも思うが、時間とお金を使って観る気がしない。
観るのだったらオリジナルかな。