劇場公開日 2022年5月13日

「山本耕史の異様な存在感がウルトラマンのごとく頭に取り憑いて離れなくなる一作。」シン・ウルトラマン yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0山本耕史の異様な存在感がウルトラマンのごとく頭に取り憑いて離れなくなる一作。

2022年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『シン・ゴジラ』(20016)に続く『シン・○○』シリーズなので(予告されているように、本作の後は『シン・仮面ライダー』が公開される予定)、当然庵野秀明監督作品なんだろうと思っていたら、『ゴジラ』で共同監督(特技監督)を務めていた樋口真嗣監督であることを上映が始まってすぐに知りました。

元々監督も脚本も庵野監督が務める予定だったところ、『エヴァンゲリオン劇場版』(2021)の制作に忙殺された、などの理由で樋口監督が単独でメガホンをとることになったとのこと。脚本は庵野監督が引き続き務めたため、なるほど、庵野監督が紡いだ物語を樋口監督が演出したらこうなるのねー、といった面でも楽しみながら鑑賞しました。

怪獣が日本に襲来し、人類がどのように立ち向かっていったのかを、極限まで圧縮した映像と文字によって畳みかけてくるオープニングは非常に見事でした。既に『パシフィック・リム』(2013)などでもおなじみとなっている手法ではあるのですが、本作の世界観に観客を一気に引き込む、最高の舞台装置になっています。

前半の大作戦でなぜかやたら電線が存在感を見せるという、何とも樋口監督らしい演出もあり、またウルトラマンと人類の共闘、そしてメフィラス星人演じる山本耕史の異様な迫力など、最後まで見所が満載でした。

登場人物を職務遂行の姿勢とちょっとした生活感だけで描く、という手法は『シン・ゴジラ』から引き継いでいて、それが物語の明朗さと直結しているんだけど、ウルトラマンにはもうちょっと人類に対して興味を持った理由を話して欲しかったなー、と感じました。ウルトラマンになる以前の神永隊員がどのような人物だったのか、についても。

yui