「同時代にこの人たちがいてよかった」シン・ウルトラマン ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
同時代にこの人たちがいてよかった
素直に面白かった。少なくともいま劇場でかかってる凡百の映画より断然魅力的。
はぁこうするか〜という連続。アメリカ的エンタメリブートに比べて庵野的リブートは極まってるな、と思う。どっからどうみても映画的美学のかけらもないカメラ、情報を如何にまぶすかに特化して俳優のお芝居のリズムは排除、強いて言えば岡本喜八的カッティングスピード、CG造形もルックとして着ぐるみとミニュア、カットひとつひとつがコンテ内(窓)の中でしか生きない、けれどこれはこれで面白い。なぜかと言うと、それはもう世界観(情報)が面白いのだとしか言いようがない。ついでに言うと自分の好きなものを趣味で極めてる感じがあって、勝負はそこにある。ウルトラマンの世界をどう分解して、自分の表現世界として再構成したか、が面白い。もともと二次元的な巨大ロボットなり生物同士の闘いの見せ方は圧倒的に得意なのだから、ドラマパートをどう処理すればいいかがわかればこれは無数に対応できる。ハリウッドの飽き飽きするそれらのシーンに比べてシンゴジラ、シンウルトラマンのなんと発見の多いことか。ああ、同時代にこういう人たちがいてよかったと素直に思える。
ただ、もちろんアメリカなどでは受けない可能性は高い。主人公たちは情報放って人と人は同一カット内で芝居しないし、ひたすらパソコンに向かい合って廊下集団で歩いて戦闘観あげてるだけっていえばだけだし。けどいつか追いつくだろう、というアニメと特撮の融合としての実写映画がここにある、という感じ。
最後のアレなんてまさにアイデアのかけらもないような書き割りでセリフが語られるだけだけど、それまでに見せるところで見せてるのでまあいいか、となる。というか、それもアニメでは成立しているものだしね。