劇場公開日 2022年5月13日

「総監督と総監修の違い。一文字ながらその差は歴然。」シン・ウルトラマン どーむさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0総監督と総監修の違い。一文字ながらその差は歴然。

2022年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

庵野秀明氏は今回「総監修・規格・脚本」というクレジット。
つまり、今回は大きな責任感から解放され、制作に携わった作品ということでしょう。
作品全体から漂う、庵野作品に対するリスペクト。

「あーこのアングル、この演出、エヴァのあそこやな、シン・ゴジラのあそこやな」
というのが随所に散りばめられていて、ファンには嬉しい。

一方で、作品全体に漂う「庵野作品って、こんな感じやろ」感。それは樋口監督の
責任ではなく、庵野組全体で長年築いてきた大きな「忖度」を感じさせる。

NHK「さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日」でも描かれていたが、
長年携わってきた制作陣の力量は間違いなく素晴らしいのだが、それ以上に
長年染み付いた庵野監督への忖度の文化の根深さをひしひしと感じました。

もちろん、いくら「忖度」があっても、シン・ゴジラやシンエヴァンゲリオンでの
庵野総監督は、最後自分が抱え、苦しみながら答えを出していったと思うのですが、
今回は「総監修」としてのチェックはすれども、最後は制作陣に委ねていたのでは
と思われる作品と感じました。シンエヴァで目の当たりにした、命を削るような
チェックや修正の跡は、この作品からは感じられませんでした。

いい意味でも悪い意味でも、「シンエヴァ」の圧倒的なモメンタムからの
予熱で作れらた作品、というのが視聴後の第一印象でした。

あとは斎藤工と、長谷川博己の埋めがたい俳優としての力量の違い。
事前のインタビューで「脚本が魔法の辞典みたい」というコメントも
ありましたがおそらく、脚本が理解できていないが故に、終始
「しゃべるモデル」みたいな演技に終始。(確かにスタイルは素晴らしい)
長澤まさみさんも、いい俳優なのに、「覇気のない葛城ミサトの劣化コピー」
みたいな演技で、全く引き込まれることなく・・・

逆に、「家族連れでも楽しめる」映画には間違いなくなってると思います。
幼稚園児くらいのお子さんを連れた家族が続々とシアターに入ってくる
のを見て、上映前は「ウルトラマン、、、だけど、庵野作品だけど大丈夫?」と
不安になりましたが、上映後はお子さんも楽しまれていたと思います。

2時間で、オリジナルの1話から最終話まで詰め込み過ぎて、
ちょっと情報量も多かったですね。

どーむ