「初代ウルトラマンは神なのか」シン・ウルトラマン 劇場の天使2さんの映画レビュー(感想・評価)
初代ウルトラマンは神なのか
初代ウルトラマンをリアルタイムで観ていた世代です。1966年9月24日深夜の台風26号の影響で停電になったおかげで翌日の第11話「宇宙から来た暴れん坊」ギャンゴの登場回だけは観られませんでしたが前夜祭を含め、毎週日曜日の19時にはテレビの前に座っていました。科学特捜隊のムラマツ隊長役の小林昭二の大ファンでした。
冒頭に字幕と映像を使って世界観が説明されるのですが早すぎて全てを把握できなくて少々困惑。「禍威獣(カイジュウ)」と呼ばれる謎の巨大生物が何故か日本だけに次々と現れるようになっているという設定だということはわかりました。自衛隊の通常兵器が通じない禍威獣に対応するため、政府は各省庁から専門家を集めて「禍威獣特設対策室専従班」=通称「禍特対(カトクタイ)」を設立していて『シン・ゴジラ』の世界観を継承しているかのようにパソコンを前にした官僚たちが大活躍。『シン・ゴジラ』では原発を一切ゴジラが襲わないという現実を無視した配慮がありましたが、今回は関連施設に禍威獣が迫るという危機をも描いていました。しかも日本は禍威獣を倒すために外国から兵器を買っているという図式も現実的でした。
小学生の時に胸躍らせたヒーローが、リアリティをもってIMAXの巨大スクリーンによみがえったのですから興奮と感動を持って映画を楽しみました。「光の国」の意味するもの。ウルトラマンの自己犠牲。ウルトラマンから人類に託された「モノ」。それは御言葉が書かれた聖書のようなものなのかもという感想を抱きました。それをもとにして人類が自らの英知を集めて地球に平和を取り戻す物語は意外に奥深いと思いました。小学生の時にはわからなかったものが、56年後に理解できたようです。ウルトラマンに変身する主人公の名前が今回は「神永」、スペシウム光線は腕を十字架のようにして発しているのに気がつきました。