「シン・ウルトラマンを見て感じたこと」シン・ウルトラマン コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
シン・ウルトラマンを見て感じたこと
1 ウルトラシリーズの新作にして、TV版ウルトラマンの映画化作品。
2 本作で良かったのは、始めの二つのエピソードがスーツアクターによる肉弾戦であったこと。(やはり闘いはこうでなくちゃね!)また、ウルトラマンの造形がとても格好良く感じた。(シュワッチとか言わなくてちょっと無口だったけど。)そして、見た目はクールだけどウルトラマンの我が身がなくなっても主人公の命を助けようする気持ちがオリジナル作品と同様、見られたこと。
3 一方、良くなかったのは、第一に筋立ての悪さ。オリジナルのプロットを改変したもののすっきりしていない。四番目のエピソードでメフィラス星人が侵略を止める手の引き方はどうであろう。オリジナルでは星人との交渉にあたった子供が、絶対に地球は渡さないとの強い意志を示したことで星人は気を削がれた。その子供の心意気が地球を助けた事になる。本作では、闘いの最中に星人がゾフィの姿を見て手を引くこととした。ゾフイの地球にやってきた意味を推し量ったためであろうが、前作の清い終わり方に比べれば劣る。そして最後のエピソードでラスボスとのけじめの付け方はどうであろう。オリジナルでは、ウルトラマンの闘いのあと科学者と隊員によってラスボスを倒し、地球人の気概を示した。本作では、隊員が相手を倒す方法を突き止め、ウルトラマンに托す。決して自分の手は汚さない。そして、ゾフィーの惑星を選別し地球を不要とする考え方は少数を切り捨てるものでとても受け入れ難い。
4 良くなかった第二は、科特隊の設定の改悪。隊員がホワイトカラーとなり戦闘服からスーツ姿にさせたことで、面白みが半減した。彼らの場面は、硬派な警察ドラマの域を出なかった。現代の戦いは情報戦がより重要となっているためかと思うが、科特隊が苦戦する中でウルトラマンが登場するパターンとならず、ドラマの熱量が一向に上らない。そしてかつて桜井浩子が演じた巨大化は、今回長澤まさみがボディスーツとハイヒール姿であったが悪趣味に感じた。