「【自らの中に秘めた凶暴な感情が露になった際の若き二人の少女の表情と不穏な雰囲気が印象的な作品】」サラブレッド NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【自らの中に秘めた凶暴な感情が露になった際の若き二人の少女の表情と不穏な雰囲気が印象的な作品】
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”リリー(アニャ・テイラー=ジョイ)は高圧的な継父を憎んでいる。”
”アマンダ(オリビア・クック)は罪の意識を感じないと真顔で言う。”
二人はアマンダを心配した母親の計らいで久々に再会する。アマンダはリリーの屈託する思いを見抜き、彼女に”共感”する。
ダークな坂道を転がり落ちていく二人だが、表情はあくまで冷静。
二人はドラッグ売人ティム(アントン・イェルチン)に継父殺害を依頼するが、彼は放棄する。二人の異様な気配を敏感に察知したのだろうし、大口を叩く割には小物で良い意味で言えば、脳内安全装置が働いたのだろう。
リリーはアマンダの罪を感じないという言葉をどう受け止めたのだろうか。
アマンダはリリーから飲み物に強力な睡眠薬が入っている事を告げられながら、全て飲み干した。
私はアマンダのこの行為はリリーに思いを遂げろ、あとは私が引き受ける、自由になれというメッセージだと感じた。
そして、血だらけの体で睡眠薬の影響でソファーで眠るアマンダの体に寄り添い横たわるリリー。
”共感”が成就した瞬間である。
あの出来事の後の二人の表情には微笑みが浮かび、二人が夫々の新たな歩みを始めた事を物語っている。
〈ヨルゴスランティモスに明らかに影響を受けている不穏な雰囲気漂う映像と不協和音と言っても良い効果音も印象的。「聖なる鹿殺し」百回位観ただろう、コリー・フィンリー監督〉
〈内なる感情が露になった際のある決意をした二人の表情が印象的な作品〉
〈アントン・イェルチンの急逝に慎んで御悔やみを申し上げます。自分よりも若く有望な俳優の訃報を聞くのは辛い〉
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