「優しさを理解できない人が........... "You roofied me?"」サラブレッド Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
優しさを理解できない人が........... "You roofied me?"
2017年にサンダンス映画祭で公開されたアメリカのダーク・スリラーとされる映画として成立している本作。映画.comの解説などはあてにならないのがわかる映画でこの解説を鵜のみにすると映画のテイストの本質と、それと人のダークな部分が理解できなくなり、また一方に存在する無償の愛をわかるのに時間を要することとなる。失礼! 映画.com御社。それなら書くなってか?
殺人者の中には、人を殺す前に少なからずも動物に対して、鳩の首をちょん切ったり、子猫を箱に詰めて川に投げ捨てて溺死させたりと動物虐待という言葉が、この英語の世界でも存在する ”animal cruelty” という言葉。映画のオープニング・クレジットと同時進行する映像で連想をしなければならないので、ほとんどそれを明確には表していないのだが..........。
お嬢様で自分の能力に自信のあるところが垣間見られるリリー。それを演じているのがアニヤ・テイラー=ジョイ。最初、彼女が出ているので興味がわいたのだが、本当の主役なのが映画のエンディングロールでの名前の順でアマンダ役のオリビア・クックとわかったけれども、この映画の前に動画サイトで彼女が映画「サイコ(1960)」の前日譚を描いたTVシリーズ「Bates motel(2013)」Season2でのインタビューで彼女がイギリス人という事を知ることとなる。彼女曰く、イギリス英語を話すことを知られることでためらいがあってか、表にはあまり露出しなかったと本人が番組のMCに答えていた。
リリーが亡き父親を引きずっているのを知ってか知らずか、母親は、自宅に日焼け用機器を買ってまで義理の父親にかまってほしいらしく、「彼の好きな色にしたいの💛」なんて子供の前で恥ずかしくもなく言ってのけている。そんな惚れている義理の父親であるマークの強権的なところが、この映画を観ているものに彼女の心の葛藤や嫌悪を同調させようとしているように感じる。彼女がタバコを吸っていると......無理やり取り上げて
If my dad found me smoking in his house,
I would've gotten the buckle-end of the belt.
-Is that what you wanna do?
Just throw the pack out. I won't tell you mother.
人に対する憎悪。その解決方法は? この映画のラスト3分間の映像でわかるものとなっている。その横では純真なように”いびき”をかいてまで眠っている人。 悲しすぎる。
Do you remember that stuff you were saying to Tim the other day?
-What stuff?
The stuff about how.........his life......isn't worth living.
-Yeah.
Do you ever ask question about yourself?
-Like, any of our lives?
Like, in a philosophical sense? Like your life.......in particular.
I just mean like....if you can't....feel anything like, even happiness,
or...
シナリオ自体がだいたいゆっくりと2人芝居のように2人の会話中心でしかも2人ともにこりともしないので退屈と見える物語の中に笑えないブラックなジョークが散見する作りとなっている。その上、あからさまに凄惨なギミックを使ったゴア表現がされていないので拍子抜けをされる方がいるかもしれない。それと本当にこの終わり方でよいのか? 安直すぎないか? その反面、この人物の精神構造を読み取ると最初から最後まで織り込み済みか? という疑問もわいてくる。あんなこんなで、世間ではあまり視聴者からは多くの支持を受けていない映画となっている。しかし、amazon.comではすでに配信が始まっていて、レビューを見ると支持されている方もおられる。
この映画の監督は、日本の大監督やアメリカのロバート・ゼメキス監督が映画と音楽との共通点があることをともに述べていたことを思い出させるのだけれども、この映画に登場するBGMであったり、故意的と思われる、静けさの中の小さな音の響きなどにこだわった作り方をしていると視聴者に思わせている。
最後のシーン、2人が見ている深夜放送でシャーリー・テンプル(フォックス社をV字回復させ、人生をアメリカに捧げた方で、生涯シャーリー・テンプル・ブラック大使と呼ばれた人)の映画「The Little Princess (1939)」を何故、監督はわざわざ選んだのか? この映画の本質よりも個人的には謎となっている。シャリー・テンプル・ブラック大使には、毛沢東が作った”反面教師”という言葉に当てはまるドラック・アデクトや性的倒錯者から女神とあがめられているジュディ・ガーランドの存在があるからか? 考えすぎ!!
映画「Sabrina(1954)」に出てくる大富豪ララビー家のマンションよりは若干見劣りはするけれども、それでも日本ではみられない豪邸で、しかも価格が優に2500万円は超える2013年製 Aston Martin DB9 Volanteなんてのもかっ飛ばしている??
他人が愛するもの全てを殺す。心理サスペンスには、無用のゴア表現。
IN MEMORY OF ANTON YELCHIN より、ご冥福をお祈りいたします。