「【自らの過去の行いを省み赦しを請う事と相手を赦す事の大切さ。ゲイの二人が田舎の人々の優しさの中、前向きに生きる姿勢に変容していく様を優しい視点で描いた作品。】」his NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【自らの過去の行いを省み赦しを請う事と相手を赦す事の大切さ。ゲイの二人が田舎の人々の優しさの中、前向きに生きる姿勢に変容していく様を優しい視点で描いた作品。】
純真無垢な幼子は、時に”真言”を口にする。
空ちゃんもそうだ。”パパ、ママにきちんと御免なさいって言った?”
(空ちゃん、大人になると余計な知識やつまらないプライドなどで中々、謝れないんだよ・・と心の中で呟きながら鑑賞)
又、人生経験豊かな人も、時に”名言”をさらりと口にする。
老練な猟師、緒方さん(ムーンライダーズの鈴木慶一さんではないか!)の朴訥な口調の台詞
”人から”影響”を受けて生きるのは人生の醍醐味だからなあ。”
”この村の人達は噂好きだが、ソトから来た人は受け入れるよ。噂なんか気にしなくていい・・、直ぐに忘れてしまうよ。皆、良い人達なんだ。”
村の外部移住者受け入れ担当の美里さん(松本穂香さん:この女優さんは今作のような優しい雰囲気の映画が本当にハマるなあ・・、と勝手に思う。)は言う。
”村の老人の方々がお喋りな理由は、自分の豊かな経験を若い人に残したいから何ですって・・。”(良い言葉である。)
・渚(藤原季節さん:邦画の名バイプレイヤー、こんなに優しい表情の藤原さんは初めて見る・・)と、
・迅(宮沢氷魚さん:お父さんそっくりで驚く。初見であるが素敵な方である)は、学生時代から恋仲。
だが、二人は世間の目を気にしてカミングアウト出来ない。
やがて、渚は迅の元を”ある理由”で去り、その後
・玲奈(松本若菜さん:実は”仮面ライダー電王”で拝見した時からのファンである。日曜日の朝、子供達は佐藤健さんを、私は松本若菜さんを観ていた・・。素敵な女優さんである。)と結婚し、
・空(可愛い女の子)が生まれる。
その後、迅は東京を離れ、自ら野菜を作り+緒方さんの猪肉との物々交換とカフカの”審判”を日よけ代わりに顔に乗せ長良川の河原で昼寝をする、隠遁的な日々を過ごしている・・。
そこに、玲奈と離婚調停中の渚と空ちゃんが突然現れ、3人の覚束ない生活が始まる・・。
空ちゃんの岐阜県白川村で過ごしている時の表情と東京での表情の違いに驚く。
又、親権を争う裁判のギスギスした遣り取りも観ていて辛い。
悪人は誰も居ないのに”世間体”の壁と、人の心の中にある潜在的な差別意識の壁は厚く、徐々に追い詰められていく迅と渚と空ちゃん・・。
<裁判の最中に、渚が空から言われた事を自ら行う姿にじんわりと涙が込み上げてきた作品。
新たなジャンルでの恋愛映画でも、今泉力哉監督の力量は確実であることを再認識した作品でもある。>