フェアウェルのレビュー・感想・評価
全80件中、21~40件目を表示
家族を心底愛してくれるおばあちゃんの大切さ
家族親類の中にただひたすら純粋に自分を応援し、愛してくれる大きな存在がいるということで、家族親類が連帯することができるということがひしひし伝わってくる映画です。
住む場所が離れていても、孫を愛し、健康や将来のことを気遣ってくれて、電話でいつでも生活相談ができる優しいかわいいおばあちゃん。
おばあちゃんのもとを訪ねて帰るときは、いつも寂しくて涙が出てくる。いつもそばにいて欲しいのに離れ離れで寂しくて仕方がない。ドラえもんののび太のおばあちゃんもまさにそんな存在。
中国的な家族の連帯の特徴を描いているというよりも、このおばあちゃんのような存在がいることこそが、家族の連帯にとっては一番重要なことだと思わされます。
家族といえば、ともすれば、自主自律の足を引っ張る厄介で面倒な存在という悪い面がクローズアップされることがありますが、この映画は正反対。家族肯定映画です。寂しかったり辛いことがあっても励ましてくれ、勇気づけてくれる優しくて可愛いおばあちゃんがいるだけで、離れ離れで疎遠だった親戚はいつの間にか仲良く遊ぶ楽しい仲間に変身していき、単純に家族はいいものだということに自然となっていく。素晴らしい存在感、その重要さが伝わってきます。
そして、中国長春の街並みは昼間も夜もたくさんの人が出歩いている。夜はネオンが派手でいつまでも露店が出て賑やかな感じで、徹底的に寂しさを消し去る都市環境。共同住宅も凄まじい広さとデカさ。とにかく人、人、人。
依然白人社会のアメリカで(というかひとえに白人といっても、みんなヨーロッパ各地から親類から離れてやってきた移民。だから元は一緒)本来の自分を殺してアメリカ社会に無理して溶け込もうとする両親によそよそしさを感じ、周りは白人だらけの街頭や地下鉄車内のシーンから伝わってくるように、どこか違う場所にいるような疎外感を感じている主人公にとっては、優しいおばあちゃんのいる中国こそが自分のいるべき場所だと帰省中に薄々気づき始めています。
アメリカに帰る際、おばあちゃんとの別れで寂しさのあまり主人公が涙を流し、母親も寂しくて涙を流しているシーン。生まれ故郷の中国から離れたくない。おばあちゃんとの別れという意味だけでなく、安心できる故郷、ホームグラウンドからの別れでもあるという別れのシーンが泣けて泣けて仕方ないです。
「オーシャンズ8」のときのオークワフィナは役柄のせいかあまり印象に...
「オーシャンズ8」のときのオークワフィナは役柄のせいかあまり印象に残らなかったけど、本作のちょっと猫背で自信がなさそうな感じのフワッとした存在感が素晴らしかった。
ビリーのお母さんと義叔母との会話が、西洋+東洋とばりばり東洋の小競り合いみたいにトゲトゲしくて面白かったし、シュールなシーンやショットが多々あり思っていたより楽しめた作品でした。
中国・米国・日本の文化の違いを堪能しよう! オチは、びっくりだよ。
実際にあった嘘にもとづく物語、と最初に表示される。現在は、米国・日本・中国にそれぞれ暮らしている兄弟の母親(中国在住)が、余命数か月と診断されたが、それを本人には告げないという家族の決定に、合点がいかない米国在住の孫娘の話。
伝えないよ。いいかい、中国ではこういうんだよ。『ガンだと告げられた人は、ガンで死ぬのではなく、恐怖に殺される』
孫娘は言う。「(本人に言わないなんて)アメリカでは許されないよ。イリーガル(違法)だよ」 (自分もわかっていなかったが、米国では違法なんだね)
死期が決まった病人は、"(ちゃんと告げられて)ストレスなく安静な環境で過ごすべき" なのか、はたまた "(告げられることなく) やりたいことをして過ごすべき" なのか。
孫娘の父(米国在住)が言う、「西洋では、命は個人のもの。東洋では、社会や全体の一部」 というセリフ、「(告知すれば) 家族は背負わなくてよいしいいのかもしれない。しかし背負うのが息子の義務」 というセリフ。一方、孫娘が反論する 「私は移住先で不安だったのは、何も知らされなかったから。(だから祖母ちゃんにも告知すべき)」 というセリフ。どちらもうなずける。どちらがよいかを決めることは、かなり難しい判断なんだなあ。
日本に住む俺は、"告げない" という手もあるのだろうな、と中国の家族の決定をすんなり受け入れるが、米国との文化の差の大きさを感じた。米国の人が、本作を観てどう感じるのかは、聞いてみたいものだ。やはり、「ありえない」なんだろうか。
当初は、米国や日本にいった者が勝ち組み的だったのだろうが、現在は逆転気味だということは、中国に残った三男の妻が言う言葉、「中国でならすぐに金持ちになれたのに」 でわかる。それに対する米国へ行った次男の妻の必死の反撃はこういうセリフだ。「お金じゃないわ。ところで、子供はどうするの? 米国に留学させるの? 寂しくなるんじゃないの?」
おまけ
讃美歌って、こんな風にうまく使うと、心に響くね。
オチは、びっくりだよ。
そういえばこれまで中国の映画ってあんまり見たこと無かったなあ..と...
そういえばこれまで中国の映画ってあんまり見たこと無かったなあ..と、風景ややりとりから新発見。
自分の死について私は知りたいと思うし、知ることが権利だと感じてるけど、父親に聞いたら日本も同じような風習はあったよね〜と。へぇ〜そうなんだ!!
主演の女優さんの佇まいが非常に良い。!
映画の中では暖かいアメリカと中国
両国の対立、2人の大切な友だちが喧嘩しあっている中、居心地の悪さを感じている私たち
でも、この映画当事者の片方から描いていますが、ちょっとホッとするような気持ちになりました
対立のニュースばかりを聞いているけれども、ビジネスであっても、研究であっても人は往きあい、慣習などが異なっても相手を尊重するような場面も感じられ、家族を描いていることもありちょっとほのぼのとしました 日本人女性が出てきて歌った歌が「竹田の子守歌」、この歌に日本らしさを製作者は感じたのでしょう この日本人女優さん、中国で演技の勉強をされたというのも不思議な感じでした でも中国・アメリカ両方の家族観など民族性などが語られますが、必ずしも私たちの暮らしはアメリカに近くはない、どちらかと言えば中国に近いところもあったり 生まれてから死ぬまで逃れられない「家族」というもの、暖かく感じました
主人公の女の子を伊藤沙莉さんのイメージだと書かれている方がおられましたが、物語の展開に重要であるけれど必ずしも中心でもない、私もそう思いました
日本での公開からじわじわと上映館が広がっていると言われていましたが納得です(12月3日 出町座にて鑑賞)
『スパイ大作戦:おばあちゃんに余命を宣告するな』の巻
おばあちゃん子の私には涙腺崩壊になることを覚悟して観に行ったが、流れた涙は笑い涙だった。家族みんなで祖母の病名を隠すその言動と作戦の緻密さを見ているうちに、これはファミリー版『スパイ大作戦』なのだと気づき、ほくそ笑んでしまった。
末期ガンであることを祖母に伝えるか否かで揺れる家族の思いをカルチャーギャップとユーモアを交えて描いた作品であるが、病を知っている家族が勝手にしんみりしたり、落ち込もうとも、病人であるはずの本人が何も知らず元気であるというのが本作のミソ。高齢であっても元気に気丈に家族を束ねるその姿は、正に「病は気から」と言わざるを得ない。
とは言え、アメリカ育ちの主人公が一番祖母に病名を伝えるべきだと言う主張をするが故に家族も観客もハラハラする。しかし、これはやっぱり『スパイ大作戦』だ。家族が集まる機会と称して計画した結婚式をいかにうまく行うか?という表の計画を企て、その裏で診断に関する“別の作戦”を進行させる。「病気のことは絶対におばあちゃんに言うな」と薄暗い部屋で父と叔父から口止めされるシーンはスパイ映画っぽいし、一仕事を終えて病院から出てくる家族のスタイリッシュな行進シーンには、思わず『レザボア・ドッグス』かよ!とツッコミを入れたくなってしまう。
ラストには衝撃の結末が待っているが、それがすこぶるハッピーな気持ちにさせてくれるのも見事。国際化、グローバル化、文化や生活の多様化などが進み、家族の在り方も千差万別だ。映画でも疑似家族を描く作品が増えているが、これは血の繋がった家族が織りなす家族の絆を描いた作品であり、そして何よりも文句なしに痛快な作品だ。
中国人の庶民らしい考え方が出ていて
よい作品だった。
食べる時間と家族/親戚が集まる時間は中国人にとって重要。
病気を本人に伝えないのは、日本にも残る習慣で考えさせられるテーマ。
因为中国老百姓的想法出来,我觉得这编作品是不错的。
吃饭的时间和家人/亲人和一起聚的是对中国人最重要的。
对本人不告诉他(她)的病的内容是在日本也有的是习惯,这件是我们要考虑考虑的主题。
なんなの?
おばあさんが肺がんで余命3ヶ月らしく、中国では本人に言わないらしい。アメリカや日本に住んでる2人の息子夫婦や孫、親族が集まる口実に孫息子の結婚式を行った話。
主演の孫娘・・・もっと適役いなかったのかなぁ?
猫背で、美人でも可愛くもなく、おまけに鼻にピアス。
最初から興味がわかなかった。
日本人の新妻役は良かったが、中国人と結婚するつもりなら少しは中国語しゃべれよ、って思った。
中国の結婚式って地味なグレーのTシャツで参加してもいいの?
お父さんのスピーチで自分の母親(婆さん)に感謝するのは悪くないが、息子夫婦の事をメインに話さないと・・・変。
墓参りでも婆さんが仕切るんだ!
などなど、中国の日常が見れたのは良かった。
ただ、あのラストは何?題に騙された。
これコメディなの?
よくわからんし自分には合わなかった。
お父さん。それは結婚式のスピーチちゃいますよ。
ロバート・レッドフォードが設立したSundance Instituteの支援で製作されたアメリカ映画。もともと、インディーズ映画の支援が目的のSundance Instituteらしく、配給はA-24。オークワフィナは2020年のゴールデン・グローブ、ミュージカル・コメディ部門の主演女優賞を受賞。すげーなぁ。遡ると、オリヴィア・コールマン、シアーシャ・ローナン、エマ・ストーンが獲った賞ですもんね。
ユーモラスに描かれる、近代化の渦の中に生きる中国人一家の物語。的なヤツ。
役者さんも、描写も、脚本も、撮影も好き。良い映画だなぁ、とは思うけど、今一つ気分が盛り上がらず刺さりも浅く。何でだろ、って考えてたら。最後の「はっ!」で思った。「B級邦画で見慣れてるわ、このオチもタッチも」
以上です。
チャーミングなナイナイ
内容はなんか、普通で。
つまらなかった。
2月くらいにムビチケ買って、やっと鑑賞。
コロナの影響すごいです。
映画を観ていて、映画のなかはマスクをしてなくて、これからの世界、映画の通行人皆がマスクするようになるのかな、とか考えてしまった。
ビリーの甘ちゃんさに比較して、お母さんの一言一言に重さを感じた。お母さん、本当に苦労したんだね。
中国の昔の風習がこれからの未来、あの高層マンションとともにどう変わっていくのか、大変だなぁ、となぜか感じた。
ラストは…ハイハイ、そうきますか。
と笑えました。
国際結婚にフォーカスすると喜劇
中国人の強さとか、考え方とか、これってリアルな中国文化なんだろうな〜と感じました。
高度成長の真っ只中にいた中国の高揚とか、街の変化とか、世代間ギャップとかがよく描かれているように思います。
それにしても……顔のアップとか、物の描写とか、意図的な演出は、昔の日本映画みたいな。
海外移住とか、国際結婚とか盛り沢山な話題ですが、日本人の描かれ方がなんとも雑というか。
そういうふうに見えてるのか、と(笑)
新郎新婦に焦点を当てると、喜劇にすら見える。
最後の嬉しいサプライズ。
ナイナイの持っているパワーが凄い!と見るのか、大丈夫か?中国の医療は、と見るのか。
あるいは、知らないことが幸せなのかも。
告知問題
自分は医者32年目だが、新人のころは、患者への告知はありえなかった。逆に現在は告知しないのはありえない。
現代の中国で告知が無いのはビックリした。
さらに、今の日本では年齢が高いステージ4の癌患者であっても、太極拳(?)が出来る位のナイナイには、抗癌剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤、様々な治療の選択肢があるはず。
でも、内容には大満足。劇中に出てくる" Killing me soft with his song"が良かった。
ビリー役の女優さんが、実は中国語が喋られないと知ってビックリ。
いやぁ,かなりに期待を裏切られたなぁ〜(・・?)
そう,この作品本来なら、ジーン❗️と来る筈なんだろうなぁ〜⁈なんて他人事のように云ってしまっちゃうが…
中国の仕来たりなのかなんなのかは知らんが、結婚する事を口実に?寿命を宣告された事を本人に言わないのは構わない…。がしかし,(かなり鑑賞してから時間が経っちゃい,定かじゃないかもしれない)最期のオチが6年だか7年生き延びた。という処で,ズッコケた⁉️
A24!!!
またしても…本当に裏切らないA24。
最後、一気に心がグッと惹きつけられました。
わたしがもし余命宣告されても知らせないでほしいと思っているので
この家族にしみじみ共感しながら観ていたのですが…
うんうん。この優しい嘘が一番の薬なのかもしれませんね。
個人のすれ違いから世界の軋轢へ
中国に母を残し、アメリカと日本で各々暮らす兄弟家族。母が癌で余命僅かと知り、兄の息子の結婚式にかこつけて、母には事実を秘密にしたまま、中国での親族一同大集合を目論む。が、弟の娘のビリーは、アメリカ的価値観のもと、告知をせず祖母に嘘を吐く事に納得できない。各自の考え方の違い、愛情と罪悪感に、中米日の文化差違も相まって、親族達はぎこちなく擦れあう。
告知、結婚、死生観などを通して、異文化での意識の差やすれ違いを描いた作品だが、ひいては、もっと根源的な、個人による考え方や感情の差違についての話でもあるように思う。
祖母のナイナイは、日本人嫁の控えめな様子に、まるで感情がないみたいと嫌悪感を表し、ビリーの母は、祖母への愚痴をビリーに咎められ、中国は葬式にプロの泣き屋を雇う国、大袈裟に泣いて見せなければ情が無いと言われる、と悪態を吐く。別れの日、何度も抱擁を交わし別れがたく、車の中でも遠ざかる背後の祖母からいつまでも目を逸らせないビリーは、ふと見上げた振り返りもしない隣席の母の目に、涙が滲んでいるのに気づく。
そんな風に、表現の仕方も、善しとする物事も違っても、奥底に流れる情には通じるものがある。けれど、表面に現れないそれを見誤って、誤解している事が多くあるのかも知れないなぁ、と、考えさせられるのである。
このご時世、時にユーモアも交えつつ、中国という国について、俯瞰と共感の両目線で表現している事に、大きな意義を感じる。中国系アメリカ人である監督ご自身の経験が反映されているのだろうが、折角なら日本の視点ももう少し盛り込んで、三国三つ巴色を強めにしたら、もっと深みを増したのでは、と思うのは、日本人故の贔屓目だろうか。
主人公のビリーは、大好きな祖母の死だけでなく、仕事が決まらない社会的立場、中国とアメリカ両国で揺れ動く人種的立場など、いくつもの不安を抱えている。移民の不安定さや差別の問題を示唆しているのかも知れないが、主題がぼやけ、キレが失われてしまっているように思われる。人々のすれ違いと根底にある愛情にのみ、グッと焦点を絞っても良かったのでは。
最後のオチも、個人的には不要。
ともあれ、一定以上の年になってくると、身近に感じざるを得ない【お別れの予感】。それに向き合う時、自身だけでなく、当事者本人や周囲の人々に思いを馳せる必要に駆られる。正解はなく、おそらく後に振り返って、感傷と後悔の軌跡が残るばかりだ。
誰もが共感できる身近な出来事を、世界の問題に大きく投影してみせた、ほんのり心温まる作品。
全80件中、21~40件目を表示