「自画自賛」フェアウェル U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
自画自賛
結局のところ…中国国万歳な映画なのかと思う。
お国柄というか、異文化には異文化故の常識があり、それは他文化からは疑問視されるのは当然でもあるのだが…なかなかに中国って国は理解に苦しむ。
大筋は「癌の告知の是非」みたいな事ではあるのだが…コレを主軸に展開される脚本が巧妙というか複雑というか。主人公はアメリカに移住した中国人なのだ。
彼女は他国の常識を有する存在で、それにより中国の常識に疑問を問いかける存在でもある。
どちらかと言うと僕らは彼女の視点に近い。なもので全編に渡り中国の常識を異質な存在として捉えてしまう。家族の在り方とか、体裁の繕い方とか、魂の捉え方とか、死後の世界とか。
「プロの泣き屋」とかバカげた職業まで存在し、その理由が泣いてる人が多い方が故人の人望が高いからなのだとか。見栄以外の何物でもないよな…。
先祖の霊を供養するのは理解できるのだけど、あんなに願い事をするのは厚かましいのではなかろうか?
どおやら大陸では死後の世界への明確なビジョンがあって、存在自体への疑念があまりないようだ。
劇中では東洋文化なんてくくってはいるが、いやいや待ってくれ。あんたんとこだけだよと注釈を入れたい。
一路一帯政策とか絡めた表現とは思いたくはないが、それぐらいやってのけそうな図々しさが全編に渡り溢れでてたりするから困りもんだ。
そもそも嘘だった結婚式を実際挙げちゃうのはいかがなもんなんだろか?
そんな事が許される国民性なのかしら。
確かに家族の絆は強い。
そう描かれてもいる。
ただ、かなり排他的にも見える。
その家族達も、冷徹に没後の話をしてもいる。結婚式の真っ最中に。とんだ茶番劇もいいとこなのだけど、アレはなんなんだろ?結局のトコ夫婦になったのだろうか?
物語の最後は、アメリカに戻る彼女達で終わる。
余命幾ばくもない母を残し、自分達の生活に戻っていく罪悪感というかやるせなさというか…。
アメリカでは違法とされる癌患者への非告知。
それが横行する中国への否定的な目線で終わる。
のだが…
その癌のステージ4である母は6年経った今でもご存命なのだ。本人の元気な映像が映し出される。
ここに来て、全肯定の様相を見せる大どんでん返し…ポカーン…開いた口が塞がらない。
なんつうマウントの仕方をしやがるんだ。
「病は気から」って言葉には、そこはかとなく説得力を感じもするが…物凄い勢いで足元を掬われた感じだ。
中国側からすれば、してやったりな感じなんだろうか?結局持論が肯定されたような終幕。
最後の最後まで自己主張の激しい作品だった。