「竹田の子守唄が聞けるとは(笑)」フェアウェル Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
竹田の子守唄が聞けるとは(笑)
いまの中国の典型、家族の在り方が分かる作品。
ドキュメンタリー映画を見ているよう。
年老いて一人暮らしを続ける母。
舞台となっている長春は、中国東北部の
中堅都市(日本なら大都市)。
二人の息子は、日本とアメリカで立派に生きてる。
母ががんと診断されたことを機に、
日本に住む長男の息子の結婚(相手は日本人)を
長春で執り行うことに急遽決定し、
家族全員が25年ぶりに実家(長春)に集合する。
そこでの悲喜劇を
アメリカに住む次男の娘の視点から、
いまの中国を描き出す。
ステージ4の肺ガンと診断された母をめぐって、
・本人に告知すべきか否か
で、家族全体が揺れ動く。
何も知らない母は、ひたすら精力的で
結婚式を仕切ることに余念がない。
・太極拳?で、奇声を上げる
・披露宴のメイン料理を勝手に変更するなとクレーム
・亡き夫の墓前で家族に対する願いを延々と続ける
・孫の結婚相手である日本人をディスる
どれも、可愛らしく微笑ましくさえ感じる。
キャスティングの勝利だろう。
本人へのガン告知を否定する中国古来の考え方
(日本もつい最近まで同じだったと思う)と、
個人を尊重する思想が染み付いたアメリカ育ちの
2世代目(孫世代)の葛藤、
見た目は中国人でも、しゃべりは明らかに外人な
孫世代は見るもの、聞くものすべてに戸惑う。
・新築ホテルのエレベータが故障
・好奇心まるだしのホテルマン
・葬式に登場する「哭き女」
個人的には、本レビューのタイトルにした
「竹田の子守唄」を新郎新婦がデュエットする
シーンが面白すぎた。
原曲がどんなものか、誰もわからないほどの
音痴っぷりが、有り得なさすぎてかえって
笑えた。
中国人、中国に関心ある方には是非おすすめします。
そうでない方には、辛いかも。