「人類は進歩しているのか」オフィサー・アンド・スパイ Golgo14さんの映画レビュー(感想・評価)
人類は進歩しているのか
19世紀末のフランスで起きた有名なでっち上げ事件が舞台。
本映画は①人種差別と②権力者の横暴が主題。
①もともとフランスは差別がきつい国である。
フランス革命で「自由・平等・博愛」を標榜していても、あくまでそれはガリア人が対象であって、辺境のビスケー(バスク)やアルザス・ロレーヌ地方の種族は対象外。
ましてやユダヤ人やロマ人(ジプシー)は論外。
近年でも繰り返されるフランス政府によるロマ人の国外追放はEU諸国から度々非難されているほどである。120年後の現在でも差別が歴然と残っているのである。
現代の我が国においても人種やその他の差別は潜在的に残っているのが実状である。
これは他人事ではないし、我々も他国の人から色眼鏡で見られているのである。
薄まることはあってもこの問題は永遠に解消されないのかもしれない。
②国家(為政者、権力者)は自分の意図する方向に物事が進まない時は、法・真実を曲げてでも無理やり力ずくでその方向を自己の都合のよい方に向かわせることがある。
古今東西そのような例は枚挙にいとまがない。
特に最近のポピュリズム政治家にその傾向が顕著である。
それを解消・阻止するにはどうしたら良いのか。
それを考えさせるためにポランスキーはこのテーマを選んだのだろうか。
さて映画としては後半部分で若干の盛り上がりがあったものの不完全燃焼で終ってしまった。
なぜ部下たちが虚偽の工作をしたり証言をしたのか。
それは上層部からの指示に基づいて行ったのか。
なぜ部下は最期に真実を自白したのか。
そんな事が分からず終いでした。
それにしても邦題のネーミングはひどい。 これじゃ売れるものも売れない。
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