「うまい、うまいよ、この話」ベイビーティース バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
うまい、うまいよ、この話
乳歯には乳歯の一生がある。
大人になるための2段ロケットのように。
永久歯が育つまでの間、大人の準備ができるまでの間、乳歯はしっかりと働き、抜けてその一生を終えていく。
下の歯の乳歯が抜けたら、空高く投げ上げると永久歯が立派に生えてくるって言われたっけ。
乳歯が抜けたら大人の歯・・・すくすく永久歯が育つためのサナギみたいな歯、それが乳歯。小さい頃、早く乳歯が抜ければいいのにって思ってた。
乳歯の一生の終わりは大人の始まり。
けど、なかなか抜けない乳歯が1、2本あったっけ。
それは大人になりきれない自分の証なのか、まだまだ準備不足の表れなのか、それともまだまだ終われない乳歯の意地なのか。
大事に大事に痛くないようにケアしたり、やんわり抜こうと思ってもなかなか抜けない。けど、放っといたら気がついたら抜けてた・・・・。
そんなのが1、2本あったっけ?
それも何かのタイミングだったのかな?
当たり前のように抜けるはずなのに・・・。
他の歯は大人のはになっているのに、この1、2本が乳歯のまんま。
けど、無理に抜くんじゃなくて、生え変わりでなくちゃね。
それまで乳歯は精一杯生きてくれるんだろうね。
いつかは終わる一生。
役割が終われば、大人の歯にバトンタッチ。
だからこそ、精一杯生きたいよね。
でも中にはそのまま大人になりたい乳歯もいるのかな?
そのまま大人になれるって思っている乳歯もいるのかな?
乳歯にも乳歯の一生がある。きっと。
乳歯の擬人化を脳内展開してしまう作品。
秀作です。
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