劇場公開日 2021年2月19日

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「きらきらしたもの」ベイビーティース まゆさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5きらきらしたもの

2021年3月5日
iPhoneアプリから投稿

やられた。
久々にやられました。。
ラスト15分位涙が止まらなかった。

裕福な家庭で大切に育てられ重病をかかえる16歳のミラと、家族から愛情を受けられず家を出されその日暮らしの不良青年のモーゼス。

初っ端二人の出会いのシーンが鮮烈、効果的でもう掴みはオッケーで、そのままずっと引き込まれました。
ミラの両親も娘を失う恐怖、ミラも16歳らしい思春期の揺らぎと自らの病気の恐怖と受け入れや生きることへの渇望、モーゼスへの恋心、モーゼスも親から拒絶されて傷ついていたり、ミラからの真っ直ぐな気持ちに戸惑い迷って、皆んな苦しんでる。

モーゼスは情け無い程、最低な事するんだけど、
映画の根底には人生の悲哀や優しさや愛情が静かに流れていて、日常の素晴らしさ、感情の機微を丁寧に優しく浮かび上がらせ様々なエッセンスをさり気なく加えながら段々と色味を帯び強い輝きを放つようになり、ラスト近くになると命と愛の尊さが痛いくらいに感じられて涙が自然と流れ出て止まらなかった。

カメラワークもなんの気ない表情のアップなのだけれど、何か印象的で惹きつけられるシーンが沢山あって、ストーリーと上手に混ざり合い、ラストへ込み上がってくる私の感情と涙。やられたって嬉しい感覚です(笑)

派手では無いけれど。
何もない退屈そうな砂場の砂を丁寧に日に透かして見つめていくと、綺麗なダイヤモンドが沢山💎見つかる。
そんな映画が大好きです。

感情の機微を丁寧に優しく浮かび上がらせていて、
バシュティバニヤンのJust Another Diamond Dayを使うなんて、その感覚、大好物ですよ。
監督の今後の作品が楽しみです。

3月3日のひな祭りに観る映画としてはハードだったけれど、観て良かった。

まゆさん