劇場公開日 2021年2月19日

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「ストーリーは単純明快だけど、色々な見方ができる映画。今週お勧め作品。」ベイビーティース yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ストーリーは単純明快だけど、色々な見方ができる映画。今週お勧め作品。

2021年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年36本目(合計103本目)。

 日本ではよくある、飽きるほどともいわれる「難病をかかえた少女が、青年と向き合う恋愛もの」の類の映画に入ります。映画名の babyteeth は「乳歯」(※ 「歯」tooth は複数形が teeth になる点に注意)。つまり、まだ乳歯が抜けきらない中高生程度の女の子の甘酸っぱいお話。おそらく映画名のこのタイトルは、その「甘酸っぱさ」を象徴してつけたのかな?と思っています(乳歯が抜けるのは人によって差があるようです)。

 とはいえ、展開としては非常にやさしく進みますし、いかに親が難病と闘う娘を、不良青年との恋愛を許していくかという、論点が非常にシンプルであっちこっちストーリーが飛ばないという点で見ていてわかりやすいです。また、オーストラリアの映画なのですが「背景:○○のとき」みたいな表現(日本語版字幕も出ます)が随所に織り込まれているので、今どこの描写?ということは起きにくいです(若干、日本語訳に難があるが、わかる範囲)。また、ストーリーも原則時間軸が一方通行なので(一部例外あり/ネタバレ回避)、「何がどうなっているのかわからない」ということも起こらないです。恋愛もののシンプルさという観点では、伝えたい点は非常にシンプルですし、問題提起もはっきりとしているので(ある難病に対して、痛みの緩和にある薬品を使うことの可否(と、いわゆる自己決定権)について。日本ではこのような使用においては厳格な管理のもとで使われています)、「何がなんだかわからないまま終わる」ということもありません。

 今週、迷ったらまず押したいなと思える1作でした。
甘酸っぱい恋愛もので、「ピンク」(アダルト的な意味はない)、「波」が、おそらく映画を通じての共通ワードでしょうか。結構エンディングもこれを意識した独特な作りになっています。

 加点減点要素は、下記で4.9、繰り上げて5.0としています。

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 (減点0.3) 明確な英文法ミスがあり(主人公の発言)、それに引きつられて字幕も変な状況になっているところが数か所あります。ある程度であれば許容範囲ですが、4か所ほどあるうち1か所はこの映画の「伝えたいこと」にもダイレクトに関わってくるところで、ちょっとこれはどうかな…とは思いました(興味がある方は「 so 倒置構文」などでググってみてください)。

 ※ 標準英文法では、当該部分は「倒置が起きるのが正しい」です。

 (加点0.1) この手の映画ではややもすると難病ものでお涙ちょうだいものになることが多いのですが(意識しなくても、結果そうなることが多い)、この映画は明確に「未成年といえども治療方針の自己決定権」という点について触れている点で、他の同類の映画とは明確に違います。もちろん、分別のわからない幼児などに自己決定権を論じても無駄ですが、中高生であれば、理解できる平易な語に直したうえで「どの治療方針にするかを自己決定する」権利は与えられるべきものであり(日本でもこの取り組みはあります)、その点を明確に問題提起していた(実際、中高生の当事者が難病だったら、自己決定権があるよ?と言われてもどうするでしょうか?多くの子は調べることもあきらめて親に投げるのではないでしょうか?)点は、見てとても良かった、良い映画だったと思いました。

 (加点0.1) この映画、エンディングが結構独特です(書きたいのですが、ネタバレになってしまう…)。こんなタイプのエンディングもいいなと思えたので(提示した問題に対して考える時間を与えてくれる。だいたい2分間、心地よい音楽が流れます)、ここは明確に良い点と考えました。
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yukispica