「さまよえるポーランド人」異端の鳥 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
さまよえるポーランド人
クリックして本文を読む
原作は高校3年の時に読んで衝撃を受けた。さすがに詳細は忘れてしまったが、映像化されたと知って、久々に再会することに。イエールジ・コジンスキーの作品はほかにハル・アシュビー監督で映画化された「預言者」を読んでいる(映画名「チャンス」)。
著者自身の体験に基づくとされる物語は、一言で言えば戦時下の少年の地獄めぐりである。戦争という災禍もさることながら、文化の果ての土俗と因襲の世界がひたすらおぞましい。虐げられ続けた少年はやがて達観したまなざしを身につけ、反攻に出る。
モノクロの端正な映像は、さながら動くダイアン・アーバスの写真集のようだ。
溶暗に続いて各章の登場人物名が浮かび上がるリズムが良い。そして最終章の名前のひとつについて、さりげなく由来が明かされる時、安堵の深いため息が出る。
コメントする