エマ、愛の罠のレビュー・感想・評価
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うんざりな前半 → ぶっ飛びの才能
序盤からずっとアンモラルな感じで、主人公に共感できず、「フランス映画はしんどいよなあ」とうんざりしながら見ていたんですが、途中で言語がフランス語ではないことに気づき、「何なんだこれ、どこの国の話?」って感じで俄然のめり込んでいった。で、後半4分の3ぐらいで話の展開に呆然。スゲエ、凄すぎる! あのセックスも、このセックスも、ちゃんとミッションがあって、そのプロセスだったんだ!って。あとで確かめたら、南米チリの案件でした。パブロ・ラライン監督か。それにしても、凄い才能がいたもんです。今年見た映画の中で、一番凄い才能かも。
痛快にしてお見事!な、間違いを恐れぬ主人公の大驀進!
最近、別の映画で「お見事!」というセリフがものすごく効果的に使われていたが、この映画やエマという主人公に対しても、同じくらいのテンションで「お見事!」と言いたくなる。とにかく言葉で説明しようとしても、この物語のハチャメチャな魅力は伝えづらいのだが、圧倒的に新しくて刺激的で、現実を突き破るような痛快さに満ちている。
正直、エマの立てた計画というのは、緻密なのか、おそろしくずさんで行き当たりばったりなのかが判別できない。判別できない、というより、その両方なのだと思う。ただ、倫理的に正しかろうが間違っていようがお構いなしに「よっしゃ!誰も彼もあたいがメロメロにしたるでぇ!」という途方も無い自信を武器に、先へ先へと突き進む。
ベタではあるが、冒頭で赤信号が燃えている。もう止まることなどありえないという作り手とエマの決意表明であり、前半の行き過ぎにも感じるスタイリッシュさも、エマの暴走に引っ張られてバランスを欠いていくような作りが面白い。ラライン監督はエマの世代のことは理解できないと語っていて、理解できないと腹をくくったからこそ、ここまで破天荒なキャラが生まれたのではなかろうか。最高。
アーティスティックに見えて、実は自らの生殖の欲望だけに生きたサイコパス・ダンサーのドン引き
えーっとですね、 つまり こういう事ですよね、 エマは夫ガストンが嫌いで、ガストンの子は産みたくないが、しかし渇望する出産体験のためならば手段を選ばずに奸計を練る。 自分の子が産めないので、仕方なく代償として引き取った養子ポロが、たまたまボヤを起こしてしまったが、その時に駆けつけてきてくれた消防士の子種がどうしても欲しくなる。 ボヤを起こしたポロが運よくその消防士の家庭に養子にもらわれていた事を知り、 また、再就職した学校でポロに再会し、校長を手玉にとってポロを人質として拉致。 消防士に対しては色仕掛け攻勢。 その妻が弁護士業である好都合を利用して弁護士事務所に出向き、自分ら夫婦の離婚調停を無料にして貰うべく女弁護士と肉体関係を重ね、 同時にそれによって彼ら=弁護士と消防士夫妻の仲を破壊し、彼ら夫妻をセックスレスに陥らせておく。 ポロをもう一度愛して引取りたい旨決心をした振りを装い、ポロの居所を突き止めて、ポロとの面会を口実に消防士夫妻の家を訪れる。 不仲にさせておいたポロの新しい家庭の養父=消防士と性交。 かくしてエマは消防士の子種を獲得することに成功し、初志貫徹で出産を果たしたわけだ。 呆気にとられ、狐につままれている表情のガストン、消防士、そしてその妻である弁護士。 しかし あろうことか、エンディングのシーンは、自己満の境地で得意気に歩くエマのベビーカー姿。 ポロなんぞにはもう利用価値はないし、 当然のごとくガストンも、消防士も、弁護士も、すでにエマの意中にはなく全員がお払い箱になっている。 そして・・ 「放火」が自分の性欲の充足と出産願望を叶えるという成功体験を得たエマは、 ガソリンをまた買いに行く。 こういう映画だったんですね。 ヤレヤレ。 最低じゃないですか。 カメラは美しいし、音楽やダンスもいかしてますよ。 冒頭の巨大な太陽のプロミネンスは明らかに卵子をイメージさせますし、 コンテポラリーな群舞はまるで精子の渦。卵子を目指して踊り狂っています。 意欲的なコンセプトで、あそこは嫌いではありません。 そして何よりも主人公エマの眼光や出で立ちが鑑賞者の目を奪ってしまうほど凄く魅力的なのです。 だから最後まで本作を芸術作品と信じて僕は見続けたし、 エマの鬱屈や、一体何をしたいのか分からない彼女の行動には、きっとそれを引き起こした何らかの理由や重たい過去があるのだろうと。 それが最後には明らかにされて、カタルシスがやっと解放されるのだと期待したのです。 「グロリアの青春」もそうだったから。 しかし、これ、 とんでもない猟奇映画でした。 対人関係障害のレゲトン・ダンサーの自己完結。 多用される彼女の真正面の顔は、この構図は思い当たります、 自撮りじゃん。 レビュー、やめようかと思ったのですが、エマへの憤怒を表明したく、書き殴ってみました。 児童福祉局のケースワーカーは、まともでした。
思ったより良かった
ガエルガルシアベルナル目当てで鑑賞。 若い時の色気ムンムンな彼(アモーレスペロスとかバッドエデュケーションとか)がめちゃくちゃ好きなんやけど、最近の枯れ気味で着実に年齢と演技力を重ねてきたオジサンの彼もまた良い。 ストーリーの方は、若くて生命力溢れるダンサーのエマが主人公。(その対比で歳上の夫役のガエルの枯れ具合がより際立つ。種無しの設定やし…) エマは自分勝手でヤリマンでレゲトンのリズムに合わせて自由に生きているように見えるが、実は手放した養子のことをずっと気にかけている。その養子に再会するための計画がラストに明かされる。 外国人の顔の判別が苦手すぎて、最後の場面までエマのセックスの相手が誰なのか判らなかった。なので判った瞬間ゾーっっとした。その後、友人家族集めて計画の全貌を話す場面、あれすごい空気やけど大丈夫なんか!?その後何事もなかったかのように家族ぐるみの交流が始まっちゃってるけど、エマ以外は明らかに気まずそう。 ラストの灯油補給のシーンも良いね。街中で火炎放射器をぶっ放しまくるエマ、そのエマから放火を教わった息子。モンスターが新たなモンスターを生んじゃってる。映画は表向きハッピーエンドのように終わるが、彼らのストーリーの続きはきっと悲惨だろう。
理解不能なエマの行動
チリのバルパライソで、ダンサーのエマは、養子だったポロから引き離され、心の拠り所を失ってしまった。 振付師の夫との結婚生活は破綻してて、消防士の男、さらに彼の妻、その他不特定多数の男女と体の関係をもった。そんな奔放なエマの行動の裏には秘密が隠されていた。そんな話。 これもジェンダー映画祭でエッセイストの能町みね子さんの推薦作品。 チリ映画というのも初めて観た気がする。なかなかエロくて衝撃的な作品で理解不能だが魅力的だった。 冒頭から信号機が燃え、なんなんだろうと思わせるストーリーも奇抜だった。そして、前衛的なダンスシーンやエマのセックスシーンも見所かな。 エマ役のマリアーナ・ディ・ジローラモが美しかった。
マリアーナ・ディ・ジローラモの魅力
最後の最後に『罠』の意味を知りました。 スタートから後半までのダラダラはマリアーナ・ディ・ジローラモの魅力のみに支えられていました。ダンサー陣も皆、美しかったのですが…ほぼ全編にわたりダラダラ感は否めませんでした。主演女優は見事な魅力でした。
ハンサムで豪快で繊細なエマと仲間たちのお話
エマも、エマの仲間の女友達たちもみんなかっこいい。
導入部、火事、海辺!子どもの話、やけど?病院?とよくわからないまま、こちらの集中力が途切れるともう違う場所違う人、、とめまぐるしく、かっこいい場面の連続。だんだんパーツがつながり話が見えてくる頃にはエマの闘志が全開に。エマの母親がでてきたり、養子縁組した子どもがまた別の親に引き取られたり、移民の子、とか、レゲトンを蔑む芸術家気取り、とかエマの母親の話とか、チリ特有の社会的な問題も背景にあるのだろうがそれはよく知らないのでなんとも言えないが、毒親の問題とか、女性蔑視、LGBTへの偏見。芸術と反芸術とか、、、いろんな問題を問いかけながら、とにかくテンポよく、美しく、エマの闘争が進行し成就していく。1人でバスにのる、母親とバスに乗る、子どもとバスに乗る、、バスのシーンが過激ではない、ごく普通の女の子のエマを見せていたと思う。消防用の放水のホースも、火炎噴射器も、エマがもつと、ランボーかよってかっこよさで。エマの友達刈り上げっ子も、勇ましくてストレートで妥協しない女子っぷりがとても素敵だった。そして、男子はみんなへたれでクソだった。最後のオチまで丁寧に見せてくれて、素晴らしい監督だ!
作品の冒頭の鮮やかな色彩の映像が素晴らしく期待が膨らんだのですが・...
作品の冒頭の鮮やかな色彩の映像が素晴らしく期待が膨らんだのですが・・ 本作のパブロ監督が、ジャクリーン・ケネディを描いた「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」は公開当時鑑賞し、ケネディ暗殺時のシーンの生々しさや衣装の色彩など割りと見応えがあって良かったんですが、、本作品は自分には合わなかったです エマの罠というか願望を果たすためのSEXシーンには辟易としてしまい、こういうことを思うのはほぼ無いんですが金返せ~と心の中でもう一人の自分がずっと叫んでいました
エマの考えは、たしかに恐ろしい考えだった
この奔放な話の根底には、主人公エマからのポロへの愛を、いや、それだけでなく、言葉にすれば "人類愛" なのだが、そうではなくもっと狭い範囲から始まる "全員愛" とでも呼ぶべきものを感じる。こんな話を映画として成り立たせているのは、一にも二にもエマ役のマリアーナさんの中性的な圧倒的な "美"!!!! その、微笑んでいるかのような無表情で、最初から最後まで貫かれている。
ねえ、この映画って、なんか危険な映画なんじゃないの?? "色彩的な映画" にとどまらず、ちゃんと映画が成り立っている。すごく感情をコントロールされているように感じる。怖い。 ただ、それだけに、圧倒的な凄さを感じる。
男も女も、大人も子供もない、全てが対等な中での、衝動としてのダンス、愛、SEX という世界。
エマが言う、「私が狙っていることを知ったら、驚くよ」 という言葉。ホントに驚いたよ、エマ!!
全然、好きではないけれど、凄い! きっとこの作品、凄い!
恐ろしい映画。個人崇拝に陥っていく姿の始まりが描かれているのだと思う。「21世紀少年」でいう "ともだち" だ。気をつけよう。
エマのしたたかさに脱帽
結局、自分の望むような生活を、だれからも非難されないように布石を打って成立! すごいオンナですね。 どの関係も壊さずにです! 誰からも恨まれることなく! 欲しいものを手に入れる。 コワイとしか言いようがない。
エマ、恋の罠
チリの作品、ということで、ちょっと興味が湧いてみた次第。 見終わって思うのは、監督が作りたかった結末の話、への強い想いはわかるけど、起承転が無い。 結末までの展開こそが、映画だと思うけどね。 湊かなえやシドニーシェルダンを読んでいれば、もう少しまともな脚本が書けたかも。 映画のプロモーション、前情報に、負けました。
エマ、愛の刃
主人公エマの奔放で予測不可能な行動の心理を何とか読み込もう!理解してやる!と息巻いてはみたものの理解も共感も結局出来なかったが 不思議とエマへの好奇心は止まらなかった 火炎放射器をブッ放す様に彼女から放出される 炎に周りの人間達が火傷させられている感がした 「やられてもやり返さない」…エマの魔性力に男女問わず引き込まれて行く登場人物の気持ちは分からんでも無いが… 更にレゲトンの舞踊と楽曲にパブロ・ラライン監督のこだわりが伝わり、エマ役マリアーナ・ディ・ジローラモの表現力にも独創的力量を感じた! …エマが着るジャージがやたらオシャレ! ワークマン😁には売って無いだろうなぁ ジャージをあそこまでカッコ良く着こなせる人は中々いないだろう!!
火炎放射器
この映画の途中、久々に席を立ちたくなった。 無意味な描写の火炎放射器。何度も躍るダンサー。男女関係なく関係を持つ主人公。 この3点しか印象に残らなかった。ドラマ部分の脚本の酷さたるや、いやはやなんとも言い難い。 肝心の核となる子供はラスト残り15分でようやく登場するのだが、そこで主人公の思いがけない衝撃的な告白。まさにとって付けたような話である。全く心、動かず。 にしてもガエル・ガルシア・ベルナルは影薄すぎ。他の役者でも良かったんじゃないか。 結局、意に反してエンドロールが始まった途端に席を立った。
COOLで計算高い怖いエマに射ぬかれた❗
主人公はCOOLで自分の欲望を用意周到にチャンスを作り出し実現する凄腕ダンサー。抜群の体型でジャージーをスタイリッシュに着こなすジェンダー飛び越えた美形。一目でイカれた。音楽もピッタリ。ダンスシーンに目が釘付け。レゲトンは打ち込み系で刑務所で流したら受刑者は何も考えなくなるだろうとエマのパートナー男のセリフがあるが確かに否めない。15年前にレゲトンを習っていたがその日のlesson終わりには思考が停まった。ちなみに映画の中のセリフにもあったがコロンビア人は最高のダンサーだ。物語に戻るとエマの賢さ。計画性があり成就するためには手段を選ばず怠らない。冷徹だ。スゴく惹かれる。キタ~!結末そう来るか!エマの操る火炎放射機も消防の放水機もエマに似合い過ぎだ。私もエマの罠にかかりたい。
理解できない、登場人物ほぼ全員。
うーむ、たしかに結果には結びついてるが そこまでやるエマの気持ち、、、あるか? 結末は衝撃というが、途中勘の良い人は気づきます、 その衝撃のなんとやらに。 だからこそ、人物を描きたいのか?サスペンス的に するのか?など作品の味付けをボンヤリさせちゃ ダメなんじゃないのかな? 嘘みたいに出来すぎな話だからこそ。 アート寄りにさせたのかな? わかんないや。 ダンス、火、フリーな交わり、様々な表現あるものの 伝わってこない。 いや、僕に理解できる力がないんだと思います。 ラストの着地、別の意味でゾッとした。 国民性の違いかな? 僕は合わなかった、残念ながら。
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