「アメリカも日本も、同じ。」マリッジ・ストーリー xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカも日本も、同じ。
こんな風に離婚に至るのだというのが、大変共感できたし、ある意味やっぱりこれが男と女の普遍的なテーマだと、お腹の底から納得できた。ありがとう、バームバック監督。監督の実体験をもとに作られた映画ときいてます。期待に違わず、よくぞこんなリアリティを持って描けたと、溜息が出た。
妻も夫も、弁護士たちも、みな一生懸命自分の責任と職務にベストを尽くし、思いやりも愛もユーモアもある魅力的な人達と思います、悪い奴は出てこない。口は悪いけど。痛々しいくらい人間的。奥さん、特にいい人。明るく飾らず、ポジティブ。争わないように生きて来た。でも争う。みな正しいのに。
終盤をみて思いました、私も50%ずつの公平さが安心で落ち着く。でも45%55%と勝ち負けをはっきりさせるほうが安心で落ち着く人もいる。むしろこれで平和とか。法律もそう。例えて言うなら、奥さんは自分が55%の側ならその多い5%を相手に渡そうとする人。でもこの夫が55%側なら。彼ははたしてそうするだろうか。
女優と監督で夫婦という立場ですが、夫のプライドをさりげなく尊重できる可愛い、そして器の大きい、正直者のいいオンナなんですこの妻は。夫に惚れてるし。でも夫はその少し立ててもらってる、いつも譲ってもらってる愛に気付けなかった。自信と傲慢さは紙一重ですね。奥さんのささやかな誇りにも気付けない。妻の自尊心を粉々に叩き潰す口論、妻も必死で応戦、人格崩壊寸前。でも最後に泣き崩れるのは夫でした。正しいはずが、妻を罵り見下し叩き壊している自分に気が付いて。そんなことしたいわけじゃないのに。慰める妻。愛があるから相手の辛さがわかる。相手を大事に思っている、でも自分を殺して生きるには限界があります。先に気がついたのは妻でした。でもそれは彼女がしっかり彼を愛し、精一杯寄り添う努力をし尽くしたから。彼はいつ理解できるかなぁ。これまで彼女の愛に包まれていたから好きだったかもしれない、愛するのは、離れたこれからかもしれませんね。