劇場公開日 2019年11月29日

「壁を叩くアダムと慰めるスカーレット」マリッジ・ストーリー Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0壁を叩くアダムと慰めるスカーレット

2019年12月16日
iPhoneアプリから投稿

自分を殺さぬ結婚などない訳で、自分の生き方において譲れない所を侵食されると破綻するという描き方は興味深いもの。冒頭の弁護士に対するスカーレットの独白は、ひと昔前であれば自分本位な結婚観。しかし、結婚は両者の合意で成り立つところ。自分本位で良い。イクメンであるかは関係ない。ローラダーンとレイリオッタのやり取りと対照的なアダムとスカーレットの言い争いに集約される。凄まじい演技のぶつかり合い。夫婦喧嘩に出会したような気まずさはいたたまれない。
アダムドライバーの歌唱は驚いたが、実に味わい深いもの。それでも結婚を生きるうえで受け容れるものと肯定的に歌い上げる。
残る問題は、意思を主張しえない子供の権利。子供の主張は考慮されないとばっさり。専門官は2人をどう見たのか。第三者に答えを求めるのは困難な話。社会としての納め方に答えが見あたらない。

Kj