「トムの宣材映画。トムだけが全く変わらない。」トップガン マーヴェリック movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
トムの宣材映画。トムだけが全く変わらない。
トップガンは子供の頃に目に穴があくほど見た。
トムも大好きで、お小遣いを叩いてDVDボックスを買って出演作も全て何度も見た。
MIシリーズと成長した。
いつの間にか、子供と続編を観る歳になっている。
トムの大ファンで、トムクルーズについて英才教育をしてくれた祖母は、すっかりぼけた。
なのに!相変わらず、バイクを乗り回すトム。
キラリと歯を見せて、飛行機大好き。
クルーズだけに、船まで乗っちゃう。
死んで普通を生き延びた直後の肉体で全速力が大好き。
トップガンのオマージュ満載の懐かしさに浸りたいところなのだが、トム〜ほんっと変わらないねあなた。
と笑えてきちゃう。
もう、あなたがフェニックスでしょと。
トップガンでもピートなんて名前は印象に残らず、トムはトムだったため、ミッチェル大佐?ピート大佐?
申し訳ないが違和感しかない。
トムはトム。百歩譲ってもマーベリック。
トムがする役は全て、トムはトムなので、いつまでも落ち着かず、乗り物とアクション大得意で、仲間と女の子に優しくて、歯をきらりと見せる笑顔でみんなを落とし、ルール度外視でめちゃくちゃするのが絶対。
これは、出演作全てでそう。
どの作品を見てもそういうトムを拝見できる。
マーベリックでも、グースを亡くした後もその調子で、アイスマンのおかげで除隊を免れながらも部隊をあちこち。賞は沢山あるが、いまだに大佐の現場主義。
だが、秘密ミッションのために、除隊寸前で指導側に回ることに。
いや〜トムは飛ぶから良さがあるわけで、不安しかない。出陣候補のエリート生徒達全員も、そう思っているはず。
候補の中には、よくこんなにアイスマンを彷彿とさせる人がいたねと驚く歯並びのハングマンや、気が強いスターウォーズ系女子のフェニックス、baby on boardよりどう考えてもbombが似合うキャラと予想されるボブなど色々。その中に、亡くしたグースの息子、ルースターが!コールサインのセンスがすごすぎる。
そのルースターが、マーベリック大尉にぶつけるしかない葛藤を乗り越え、頭で考えて行動が遅れがちな特性を克服し、「もう誰も亡くしたくない」強い信念がマーベリックと共通することで強い絆を築く。お互いが自己犠牲を差し出しつつ、危険に晒し合いつつ、盗んだ敵機、懐かしのF14トムキャットで無事帰還する。
作戦はマーベリックでないとできない凄技連続ならば、普通はそもそも爆撃目標のために山を越える手前の、ウネウネ区間で誰かしら脱落しそうだし、実際ルークが操縦するスターツアーズは長年それで敵機をまいて成り立っていた。
が、ここはエリート集団。計画より数秒遅れるだけで全員楽勝のようだ。
山を越えたら逆さまで照準を合わせて爆撃。
そのあとはものすごいGで死にかけながらも上昇して、直後にミサイルをかわす。
ハードすぎるし、犠牲が予想されるなら、除隊寸前のおっさんで、任務完了できそうなマーベリックをプレーヤーにすえるのが最初から軍としては効率が良い決断になるのだろうが、マーベリックを組織的に任務からはずす決断が紆余曲折して、最後にやっとマーベリックも出陣が決まる。
飛ぶだけで生きてきたようなマーベリックが、若者達全員の命を守って任務完了できるのか?!
ただ、なかなかチームプレーの優しさを感じられないエリート集団。現代っ子なのか自信家揃いなのか、不明。
こんなんでよくエリートまでは登れたなと感心。
本番では、作戦は時間に遅れをとりつつしっかりやり遂げるが、計画通り最後にレーダーに引っかかるので、追ってくるミサイルを自分のも仲間のもかわしまくる。
遅れたルースターを助けるために戻ったマーベリックだが、ミサイルの餌食に。
無事脱出したが敵のヘリが機関銃で個人攻撃してくるすんでのところで、ルースターがヘリを堕としにきて、結果ルースターも森の中に脱出。
2人して戻る飛行機をなくし、陸路で良いじゃんと思うが敵国内、マズいのだろう。
敵軍の古い予備機F14をかっぱらうとさ。
捕まったり、失敗したら敵軍内でも自国内でも処刑ものだろう。
それを考えるより動いてしまうトム、ルースターも道連れで即決!えええ。
グースと乗り回したF14を、息子ルースターと再び。
無事機体は動いたが案の定追っ手が。弾数もなくなり、どうしようもないところで、残っていた敵機をハングマンが堕としてくれた。
おそらく協調性のなさゆえに作戦にお留守番していたハングマンだが、軍の命令にそむいてトム達を助けに来た模様、大丈夫なのか?そもそもどこから来たの?
トムもルースターも敵機に夢中で気付かなかったとかは考えにくいし、敵機も世界最速のトムに喰らい付く執拗で緻密なパイロット。ハングマンを見逃すなんてあるのだろうか?
ご機嫌なハングマンは、「おれは優秀。」とアピール。
優秀だからできたことなのだろう、これで納得するしかなさそう。
トムとルースターのF14は車輪も離陸時に折ってしまい、胴体着陸確定なのだが、仲間が空母に網を張ってくれた。
あのF14も、トムも、もう軍では飛ばないだろう。
長年のライバルでも友でもあったアイスマンも作戦直前に天に召されて、いよいよ世代交代なのだろう。
機体もF18ではなく、マッハ10まで出る第五世代すらなく、無人機になっていくようだ。
職人技を持つが、暴走癖もある、トムのような人間味ある存在を組織で多用しない時、果たしてマネジメントの必要性さえ問われるのではなかろうか?
その場合、組織で上がることを好む者達も、アピール要素がないのでは?
でも、今を担う若者達の中にも、様々な個性が溢れている。
続編がもしあるのなら、無人よりマッハだ!と間違いなくなっているだろう。
個人的には、B29で日本を惨状にされたことは忘れないし、どの映画でも核脅威に対してならやっていいというような、核保有が戦闘に正当性を持たせてしまう風潮は、とても気になる。
飛行機ブンブンは面白いけれど。
マッハ9までの機体でマッハ10を出しに勝手に飛ばしに行き、仲間とも示し合わせていないマッハ10以上を勝手に出す暴走をし、機体をバラバラに。
訓練中勝手に高度を下げまくり隊員を危険に晒し、死にかけても死なないため懲りない。
戻ってから自前のP51に、娘がいる女性を乗せて飛行。
あなたほんとに懲りないねぇと思うし、
トムのクルーズシーンもP51遊覧飛行シーンも、なんでもできるトムかっこいい!って言わせるための映像なのだろうが、ただただトムの宣材映像。
不思議とうざったくはない。
うざいと思うより前に、この人はこういう人と憎まれず受け入れられてしまう、不思議な人間。
それが長年ハリウッドに君臨する、トムの魅力。