「映画人トムの人生哲学が僕たちを元気にしてくれる!」トップガン マーヴェリック ヤッターさんの映画レビュー(感想・評価)
映画人トムの人生哲学が僕たちを元気にしてくれる!
「映画館で観たことを自慢できる」という表現は、まさにこの『トップガン マーヴェリック』のためにこそある!映画の作り手たちも、観客にそう言わしめる自信と誇りがあると、ひしひしと感じます。前作ファンの心を鷲掴みにするあのオープニングシークエンス(泣きました)。当時としても画期的だったものを格段にアップグレードしてみせた戦闘機演出。目的も難易度も実にわかりやすい過酷なミッション(デススターか!とも思わされたけど)。クライマックスにやってくる旧式vs最新鋭機のドッグファイトシーン!(脱出する機体がトムキャットじゃなきゃいけないお膳立てもちゃんとしていて、これまたサイコーなのです)
「これもどうだい?」
と、トムが白い歯を見せながら次々と差し出してくるフルコース料理を拝みながら堪能した、そんな気持ちです。
ただカッコいいところだけでなく、カッコ悪いところも含めた世間からのパブリックイメージを、客観的に捉えてキャラクター演出に落とし込む手法は、近年のミッションインポッシブル5や6でも行われていたことですが、まさかそれをトップガンでもやるなんて!「その目つき」という言葉でいじられる満面のトムスマイル、二度の“不時着”に伴ったシュールな笑い(これは絶対に信用と信頼のクリストファーマッカリー仕事だと思う。劇場はしっかりとウケてました!)。かつて火の玉ボーイだったマーヴェリックにこんなお茶目な隙を作ってしまったら、もっともっと好きになっちゃうに決まっとるやろがい!
教えることはできなくても、やって見せて、示すことはできる。マーヴェリックというキャラクターを通してトムクルーズが生き様を、人生哲学を伝えてきたような気がして、『ロッキー・ザ・ファイナル』でのシルベスタースタローンの姿を思い返していました。加えて、ヴァルキルマーという一人の人間の”今”を反映させたアイスマンの設定についても愛しか感じなかったし、まるでエクスペンダブルズとも感じました。(そういえばグレンパウエルは本家エクスペンダブルズにも出てましたね)
エンドクレジットもちゃんとトップガンのそれになっていて、なんかもう、そこまでしてくれちゃってありがとうって感じです。
ままならないことばかりの現実世界ではありますし、それに対しての本作のテンションはともすればお気楽なものと思われるかもしれません。でも、この作品はフィクションを通してでしか伝えられない希望をマーヴェリックが、いや、トムクルーズがその身をもって伝えてくれています。観終わった後にはニッコニコ!こんな映画もやっぱりいいなぁ。
作り手たちのように、僕も自信をもって勧めます。映画館でトップガン観ておいで!と。