劇場公開日 2019年10月11日

「カカメの執念」血を吸う粘土 派生 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5カカメの執念

2019年10月13日
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鑑賞方法:映画館

ホネホネカカメくん爆誕!ベイビーホネホネカカメくんは尺取虫みたいでベリベリキュート!

なんて楽しく、なんて愛しく、なんて恐ろしい物語なの。
前作も王道ながら予想を超える面白さだったけれど、その続きとして完璧な上に、さらに期待通りのものと期待を越える展開が用意されていて、本当に最高だった。

カカメの執念は三田塚の執念。
カカメの執着は伏見の執着。
過剰なグチョグチョ音に乗せて一生懸命に水分と血液を求め、どこまでも殺しにやってくるカカメ。
ゆるかわなお顔とは裏腹な気味の悪さと「絶対殺す!」の意思はやっぱり怖い。
カカメダンスウォーキングほんと好き。

またもや山奥の美術合宿的な舞台で粘土に血を吸われるかわい子ちゃんたち。
個性が強く少しピリッとする面もありながら、みんな可愛くて好きになってしまう。
一人また一人と、とんでもない姿に変えられてしまう様子が悲しくも楽しく、そしてとんでもなく興奮する。
触手系のなんかアレな動画でも見てるんか?という気分になるよね。ちょっとね。

前作のとあるシーンに被せたシーンにテンションぶち上がった。
このために、ただこれのために出演してくれた俳優さんにも感謝感激雨嵐。
気持ち悪すぎる造形と、突拍子もないアイディアがひたすらに至高。
粘土ってすごい!なんでもできる!

伏見の娘、果林が抱える孤独と、義理の姉妹ミズエとの複雑な感情の変遷になんともヒリヒリさせられる。
あまり多くは語られないけど、二人の今までの関係性や育ってきた環境については容易に想像できる。
予想はしていたけど咄嗟の行動に涙。
きっと心から嫌っていたわけじゃないんだよね。平等な愛を注がれていれば仲良し姉妹になれたかもしれないのに…とか考えてボロ泣き。
私は家族モノにめっぽうめっぽう弱い。

前作で自らの手でカカメの素を起こしてしまい、修羅場をどうにか抜けてきた藍那先生もまた胸熱。
取り憑かれたようなその姿は脆く見えつつ、芯の強さに安心できる。
全て背負おうとする彼女へのフォローが優しくて暖かくて頼もしくてまた涙。
りんごのやつ!りんごのやつ飲もうな!

想像の斜め上を突っ走って行くスケールの大きさには唖然とした。なんでこんな面白いこと思いつくの?
ちょうど台風19号の前日に鑑賞したため、なんだか身に染みたりして。雨降らんけどね。
締め方も完璧。なんでこんな面白いこと思いつくんだろう。

怯えてしゃがんでないで早く行動してくれ〜!という焦りや頭の悪い芸術家への苛立ちはあれど、フラストレーションのアクセントとして楽しめる程良さ。
六角形のモチーフと音楽にのせた演出がとても楽しい。
ホラー映画のお約束は押さえつつ、オリジナリティと細部までのこだわりを感じる映画だった。大好き。

KinA