夕陽のあとのレビュー・感想・評価
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木内みどりさんのご冥福を
とにかく貫地谷しほりさんが素晴らしかったですね。本作で女優として大きく飛躍した感じを受けます。また山田真步さんも迫真の演技でした。この作品はタイトルの通り、鹿児島の海に沈む夕焼けが大きくて真っ赤で作品の内容とともに心に染みる風景でした。
また本作では先日亡くなられた木内みどりさんが、とても優しいおばあさん役で素晴らしいお芝居をされています。木内みどりさんのご冥福をお祈りします。
母親が子供を思う心情。それが伝わってくる作品です。
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」では出番が短めだった貫地谷しほりの出演作品だったのと、この作品の予告がとても綺麗だったので鑑賞することに。
一人の子供をめぐって、生みの親と育ての親が「自分が育てたい」と争うお話。
重そうなテーマだろうと身構えていたのですが、
重いというより切なくも暖かい作品でした。
☆
7年前に子供を置き去りにした「産みの母」 = 貫地谷しほり
7年前に子供を預かり育ててきた「育ての母」 = 山田真歩
二人の母親が感情をぶつけあう場面が展開するわけですが
子供を手放さざるを得なかった事情・心情を徐々に理解する「育ての母」
子供が素直でやさしい子に育てられていることを肌で感じる「産みの母」
次第に相手の過去や心情が分かり、最後は
「町のみんなが僕のお母さんなんだって」
「茜もその一人だよ」
そう子供に言われ、身を引き大阪に引っ越す決心をする貫地谷しほり。
大きくなれば島を離れる子供が多い現状らしく
ならばその時こそ、子供の支えになろうということのようで
切なくも、まあそうなるかなぁ、というエンディングでした。
※素朴な疑問
「鹿児島の離島から都市に出る」
この際の行き先って、大阪が定番なんでしょうか?
福岡辺りなのかなと思ってました。
☆
で、この作品
モチーフに覚えがあるような感覚がしながら観てました。
…
そうか。時代劇の大岡越前。
・男の子をめぐって、自分の息子だと主張する母親が二人。
・子供のウデを掴んで引っ張り合い「勝った方が本物」とお奉行サマ
・痛がって泣く子供の手を離す片一方の母。
・勝ち誇るもう一方に「痛がる子供を気にもかけぬ、お前がニセモノ」とお奉行サマ
↑確かこんな話。
でも
奪い合う二人がどちらも悪い母親ではなく、純粋に子供を愛したい訳ですから
そこは大きな違いですよね。 と自己完結。
どちらの母親も子供も、幸せになって欲しいです。
最後に
木内みどりさんのご冥福をお祈りいたします。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
子供が泣くシーンで終わらなくて良かった…
長島町を舞台にしたお話だったので観に行きました。…が、これ、別に長島町でなくても良い話でした。関係者に長島町の方がいたのかな…。
主演は、貫地谷しほりでいいのかな?子供を捨てた母親役なんて、意外でしたが、痛みとか、悲しみとか、喜怒哀楽が、とてもよく現れていました。子供を捨てるなんて…と思いましたが、同情もしました。
山田真歩さん、個性的な役が多いイメージですよね。最近だと、ドラマあな番とか…。今回は、至って普通の母親役で、かえって難しい役だったんじゃないかと思いました。
この二人で、産みの母と育ての母を演じるんですが…。なんか、八日目の蝉を思い出しました。八日目の蝉は誘拐でしたが、この作品は置き去り。どちらも、子供が、育ての母を実母と思っている点は一緒かな。ただ、この作品は、貫地谷しほりが、身を引いてくれたことで終わった点が違います。息子と暮らすことだけを考えてた母親が、息子の幸せを考えてくれたんだと思います。息子が、いつか、本当のことを知る日が来るんでしょうが、そっと受け止められればいいなぁと思いました。(八日目の蝉は、確か、目の前で逮捕されて、屈折した子に育ってしまったので…。)
予告編も解説も見てはいけない
何の映画かさえ、知らずに観たのは大正解だった。
解説や予告編でネタバレしているのは信じがたい。
「起承転結」という言葉があるが、本作品は「起“転”“承”結」だ。
1/3も過ぎた頃に、茜(あかね)以外のすべての登場人物が、「えっ!?」となるのだが、観客も同時に「えっ!?」となるところに、醍醐味があるのではないだろうか?
「えっ!?」となった「転」の時点から、真のストーリーが動き出す。
133分という長尺で、「親権」という、ただ一つのテーマを、じっくりと追っていく映画だ。
残念だったのは、効果的に使われていた「おもちゃの携帯電話」以外では、台詞で多くを語らせてしまったことだ。
説明的で分かりやすい反面、流れが単調だし、観客をスクリーンに没入させる仕掛けに乏しい。(とはいえ、夕陽はラストシーンだけに取っておくべきだった。)
色彩は独特だった。
漁師町の生臭さを消すためか、“藍色のフィルター”をかけたような映像になっている。
前半は、明暗のコントラストが非常に強い。回想シーンでは、(お約束の)セピア色っぽくなる。そして、普通の感じになってエンディングとなる。
実際は、この映画のように簡単にはいかないだろう。
茜(あかね)のキャラクターも真面目すぎて、このような事件を起こす女性の典型的な姿とは思えない。
ただ、「子供にとって良いこと」が一番大事なのだ、というメッセージは伝わった。
きばれ、豊和!
きばれ、豊和!
茜が呟いた言葉は、きっと、自分にもかけた言葉だろう。
貧困と孤独にある人は、助けを求める術さえ知らない。
たとえ真面目に生きていようが、一生懸命であろうが、社会の片隅に追いやられる人はいる。
子を産む痛みを知らない五月。
子の側にいることの出来ない茜。
茜の苦しみや、子を産む痛み、離れ離れにされる辛さを理解していく五月。
大切に育てられ、優しさを育み、豊和に母の五月と仲直りして欲しいとお願いされる茜。
僕には正解など見つけることは出来なかった。
豊和が幸せであることが一番。
確かにそうだが、どうしても切なさは消えない。
茜は身を引く決心をするが、ただ、茜には帰ってくる場所が出来た。
待っててくれる人も出来た。
五月もいずれ真実を告げる日が来る。
豊和もいずれ真実を知る日が来る。
きばれ、五月。
きばれ、豊和。
そして、
きばれ、茜。
島の夕陽は、皆も、そして茜も照らしている。
もうきっと孤独ではない
みんながお母さんなんだって
予告ですでに人間関係が知れているので、冒頭、茜の視線の先にある、手放してしまった幸せが切ない。「海はね、夕陽のあとが一番凪いで暖かいんだよ」という。このセリフのおかげで僕は、苦しくも我慢できる。最後には誰もが納得の出来る結末が待っていることを約束してくれているようで。
どうしても、初めは五月家族に肩入れしやすい。茜の哀しさは報いだろうと突き放す。しかし、茜のいきさつが知れるにつれ、皆が皆、誰を傷付けるつもりがなくとも傷付き、傷付けあうこの関係の苦しさに胸が締め付けられていく。「八日目の蝉」的悲哀を味わい、「父になる」的結末に帰結するのか、と思いきや、それとは違った道を選ぶ茜と五月。すべてが豊和の幸せを一番に考えた末の結論。
貫地谷しおりの渾身の演技に圧倒され、「一度失敗した母親は子供を抱き締めてはいけないの?」の台詞が脳裏か離れない。
参りました
色々頭の中整理つかないです こういうのを"是枝派"って呼んだら、監督に失礼でしょうか? でも 社会の問題を 日々通り過ぎてゆく、悪いやつを見つけ石を投げつけて終わりではないと思わせてくれる、映画が最近日本にも 出てきている。
それには まず、嘘ぽくてはならない。それは 冒頭の漁師のシーンで感じる そして、その中に役者が見事に溶け込んでいる
役者にも自然な演技が求められる。
実は 先日 アイネクライトナハトマジークで貫地谷しほりが良かったので これを観たのだか 相手役の五月 山田真歩が素晴らしかった。
さらに とわ君が茜に謝るシーンでふっと そよ風が吹いて茜の髪を揺らすのだが、あれは偶然なのか
演出なのか……そこにとても人間(大人)では解決できない事に島の自然がふっと 入ってきて…ラストの都会では絶望させた夕日が今度はまた日は昇る 希望の夕日として 映る
さらにラストも 完全なハッピーエンドではなく 鳴り止まぬ蝉の声と演奏を終えたとわが居ない茜を探すような目の動きで終わる事で 観てる者へ 全てが解決したのではない と思わせる
子争い
生後3ヵ月の息子をネカフェに遺棄し自殺を図った過去を持つ女と、児童相談所より赤ん坊を預かり里親として7年間育ててきた夫婦との息子を巡る想いの話。
一度は間違いをおかしたが息子の姿をみて、接してもう一度やり直したいと思った茜。
又、そうなることは予見していたのか、その為の準備も行っていたという展開だけど、現在の豊和の幸せは誰が築いたものなのか。
色々事情があったとしても7年前の行動は子供のことを何一つ考えていたようには思えないし、男脳と女脳の違いなのか、少なくとも6歳の頃から産みの母親と離れて育ち今に至る自分には産んだだけの人を親とは感じられないし、「一度失敗したら云々」は余所でやれば良いことだし、思っていてもそこで口に出して主張して良い言葉とは思えない。
結果としては綺麗に締めてくれたし、ドラマとしては面白かったものの、自己中心的でワガママな欲しがりにしか感じられず響かなかった。
まさしく「心を削ってつくった」作品。
「心を削ってつくった」と舞台挨拶の貫地谷しほり。その通りだったのだろうな、と観ていて思った。
海辺の町、凪の海。海沿いの街路灯。
孤独な都会。憧れの家族。暴力。子の泣き声。
あの『八日目の蝉』を思い出さずにいられなかった。
救いたかったのは子ども。
救ってほしかったのは母親。
狂気にもなる母性。苦しい、苦しい。
でも、子どもはいつかは離れていく。
狂気は諦めを得て、落ち着いていく。
おのれの魂が救われて、般若の仮面がとれていく。
進むべき道がすーっと開ける。
貫地谷しほり、素晴らしかった。
そして、山田真步。海辺の町の母にすっかりなったラストシーン、素晴らしかった。
実はこの人もかなり凄かった。
素晴らしい作品。
驚きの収穫だった。
素晴らしかった
作品紹介のコメントを描かせていただいた。日本の現在の里親や養子縁組をど真ん中でドラマにしていて、そこに万に一つだけどリアルなサスペンスを放り込んでおり、僕は当事者でもあるため他人事でなくハラハラした。貫地谷しほりさんが、あまりに暗くて確かにそのくらいつらいだろうなあと思う。息子さんがすごくいい子に伸び伸びと成長していて、両親だけでなく地域全体が素敵な、理想の子育て環境なのではないだろうか。
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