「自分の幸せのレシピ」トスカーナの幸せレシピ SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
自分の幸せのレシピ
クリックして本文を読む
ムショ帰りのかつては一流のイタリアンのシェフとアスペルガー障害の青年。二人が出会いを通じて各々の幸せのレシピ(邦題ぴったり!)を作っていくハッピーエンドのヒューマンドラマ。
興味深かったのは、障害事件を起こすきっかけを作った元同僚シェフの料理のレシピ。フレンチもだがイタリアンでもヌーベルが流行っているようで、日本でよく聞く、カレーにチョコレートやココアでコクを出す方法のイタリアンバージョンなのだろう。ここで青年が「世界に必要なのは完璧なトマトソースだ!」とコンテスト主催者の元同僚のレシピに従わず、自分を指導してくれたシェフの教えに忠実だったのは、臨機応変な対応が苦手なアスペルガー障害のせいではなかったようだ。試食をした料理界のレジェンドが青年の料理を持ち帰った場面にもスカッとした。
原題Qanto Basta の意味は「適量」。アスペルガー障害者には「適量」は難しい。だから「全力で!Full Power!」とシェフは言ったのだが、映画終盤では青年は両方の言葉を使いこなしていたのがちょっとよかった。きっとこれからは、シェフのレストランでも女性との付き合いでも適量で行けるだろう。
それにしても、青年を母親のように支援するワーカーの存在は大きかった。同じイタリアで2008年製作の「人生ここにあり」でも思ったのだが、アスペルガーの人もできる人はこんな風に手に職がつけられるよいなと思った。
コメントする