「おとなしいアジャ監督」クロール 凶暴領域 MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)
おとなしいアジャ監督
「ハイテンション」の残虐イメージがすっかり定着したアレクサンドル・アジャ監督の最新作。巨大なハリケーンが上陸後、連絡の取れない父の元へやって来た主人公だったが、地下で父が怪我を負い、意識を失っているのを発見し、更にそこにはワニが潜んでいた…というパニック作。
久しぶりのきちんと全国公開されたワニ映画だ。「U.M.A レイク・プラシッド」とは比べ物にならないクオリティの差である。
緊迫感のあるストーリーだが、家族の失われた絆を取り戻していくドラマパートも注目の作品だ。ヘタに規模を大きくする事はなく、閉鎖的な環境に舞台を絞ったのも一役買っており、終盤まで一定の不安感を感じながら観賞できる。
きちんとワニの特性等も描いており、的確な映画作りというものを全うしている。
水位が急に上がる部分や、昔話をする余裕の父娘、生存率高めの父娘など、突っ込みどころはかなりあるのだが、そこは雰囲気でやり過ごそうと思う。
かなりおとなしい印象だが、「怪我」のシーンは激痛ものだ。流石アレクサンドル・アジャ監督である。細かな所にもぬかりなく手を加え、妥協無く描ききった一作である。観て損する映画では無い。
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