「かっこいい青春でも美しき革命でもない」ブラック校則 ゆなさんの映画レビュー(感想・評価)
かっこいい青春でも美しき革命でもない
まず、演出が私の好みだった。最高の緩急と音楽の使い方。
それらを用いて描かれるのは、「何者でもない彼らの青春の軌跡」って感じ。
かっこいい青春でも、美しい革命でもない。
そんな美談はそうそうなくて。でも彼らは立ち上がった。
創楽と中弥だけじゃない。他の描かれた彼らも、描かれなかった彼らでさえ、それぞれ立ち上がったんだろうなーというのが、わかる。
「青春」とは言ったけど、大人にだってみてほしい。かっこよくも美しくもない荒削りな青春の軌跡を。
立ち上がれた人にも、立ち上がりたくても何もできなかった人にも、そもそも立ち上がるほどの情熱を抱いたことがない人にも、観てほしいなーと思う。
だってまじで全然かっこよくも美しくもないんだよあいつら。立ち上がったり座ったりするし、立ち上がっても誰もこっちを見てくれないし。でも立ち上がったやつらがいて。ひとりとかふたりとかじゃなくて、名前のない誰かがきっとたくさん、立ち上がってみたり座っちゃったりしてる。それだけなんだけど。そんなのみんなそうなんだけど。
描かれなかった「約500名」の声も感性も散りばめられていたのが本当によかった。だからこそ「何者でもない彼らの青春の軌跡」なんだよ。創楽も中弥も希央も、本当は何者でもない。それでも立ち上がってみることはできる。
彼らのこの先が、少し変わっていればいい、そう思った。
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