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「ニューヨークやカリフォルニアだけがアメリカではない」インディアナ州モンロヴィア La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
ニューヨークやカリフォルニアだけがアメリカではない
F.ワイズマン特集 - その3 -
文字通りの人種の坩堝で、様々な人種と言語が入り乱れるニューヨークの一地区を描いた『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』(2015)のアンサー・ソングと考えて撮った作品だと思います。
中西部インディアナ州の片田舎モンロヴィアに暮らす人々を追ったドキュメンタリーで、2016年の米大統領選挙でトランプが勝利を収めた後に撮られた作品です。インディアナ州は白人が人口の85%を占め伝統的に共和党が強く、その時には トランプ:クリントン = 57:38 でトランプが圧勝しています。ちなみに今回の選挙でもトランプ:ハリス = 59:40 と変わらぬ支持を得ました。そうした政治状況を見据えてこの場所は選ばれたのしょう。ニューヨークやカリフォルニアだけがアメリカではないのです。
街の様々な職業の様々な人を映すのですが、まず、黒人が殆ど映らない事に気付きます。ヒスパニックの人も居なかったのではないでしょうか。アジア人は一人も見えませんでした。
そうした街の人々の声の中で印象的だったのは、住宅地を開いて新しい住人を受け入れる事・人口を増やす事に必ずしも賛成していない人が少なからず居る事です。
「今のままがいい」
と言うのです。その気持ちを理解は出来ますが、それこそまさしく「保守的」な気質です。でも、「今のままがいい」と変化を受け入れない事は「今のまま」ではいられず「衰退」して行く事を意味します。それに目を瞑ってでも今のままがいいのでしょう。
ただ本作では、政治的な或いはLGBTや人工妊娠中絶と言った社会的な言葉は一切出て来ませんでした。そんな事は語りたがらないのが人々の気質なのかも知れませんが、そこにも踏み込んで欲しかったです。