「日本で観ることのできる奇跡」ミッドナイト・トラベラー kammomenさんの映画レビュー(感想・評価)
日本で観ることのできる奇跡
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アフガンの映画作家が、タリバンの指導者を主人公に作品を撮り、文化的なカフェを営業したことで、タリバンから死刑宣告を受け、難民となることを受け入れて家族4人で旅をすることに。走行距離は5600k、期間は3年。
アフガニスタン→イラン→トルコ→セルビア→ブルガリア→ハンガリーと旅するが、待ち受けるのは難民排除の反発と弱味に付け入る密航協力業者たちだ。
撮影は3台のスマートフォンでされ、その都度、デバイスの容量を圧迫しないよう、アメリカの編集者に送られて、この90分のドキュメンタリーが完成した。
ヒリヒリするような命の危険とまさに隣り合わせの、「真夜中の旅」。しかし、さすが映画作家、スマホで撮ったとは思えない自然の美しさや、子供たちの笑顔、妻の魅力をきちんと映像に留めている。「大人になってもヒジャーブで髪の毛を覆わない」と明るく話す長女の姿がイスラム圏の人々のリアルを伝える。
映画の可能性を大いに感じた90分。そして、今まさに大揺れに揺れるアフガニスタンの現実を日本で観ることができる奇跡に感動する。誰も報じない映像を1900円で見ることができる幸せ。本年度ベストワン候補の一作となった。
今後上映館が広がることを切望します。
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