劇場公開日 2020年2月21日

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「怖い映画でした」ミッドサマー Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0怖い映画でした

2022年2月17日
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澄み渡る空気と美しい自然の間で生まれる狂気。何でこんな映画を作ろうと思ったのか気がしれない。山奥に住む人々に巣食う狂気というワードを想像すると、カニバリズム等の彼らにとっては当たり前でも、我々にとっては異常そのものとなるような物を想像するが、本作もそれに近しい物がテーマとなっている。彼らにとっては文化、歴史、風習という本来は我々も大切にすべき物を守り続けているに過ぎないのだが、それらは外部からやってきた人々には正気の沙汰とは思えないものなのである。その様が本当に不気味であり、動悸が激しくなる思いだ。
過去作、「ヘレディタリー 継承」もそうだった様に、映像の一つ一つが丁寧でかなりの尺となっているが(ディレクターズ・カット版を視聴。約180分。)少しずつ湧いてくるような狂気の数々に圧倒されたままエンドロールを迎えた印象である。村人の台詞なども後々要になってくるような構成であり、関係ないと思っていた台詞やシーンが大事となってくる。純度100%のホラー作品とはならないが、トラウマ級の不気味さを味わえる一作である。

長尺で囲い込むような形で回収していく構成はアリ・ラスター監督のこだわりなのだろうが、それにしても本作は長い。劇場公開版ですら150分近い本編となっている為、合わない人はとことん合わないだろう。正直なところ、個人的にも期待しすぎた思いもある。ホラー作品としてならばもっと怖く出来ただろうし、ヒューマンドラマとしてはややまったりしすぎていて、どっちつかずな形に思えてしまう。時折スプラッタ的表現が差し込まれるのだが、どうもそれが浮いてしまっている。恐らくだが本作は監督のやりたいようにやりすぎた作品なのだろう。その辺の世界観が監督とぴったり一致する人は心の底から楽しめるのではないだろうか。

Mina