「田舎は常識が通じない」ミッドサマー みすのさんの映画レビュー(感想・評価)
田舎は常識が通じない
前作観た人、前作は怖かったよね?お母さんの速さとか。
【バッドトリップのイヤさ】
パーティの途中に女の子とせっかくいい感じなのに、結果として妹を電柱に叩きつける羽目になるほどイヤなトリップってない。
あんなんなったらまずもう正気を保つコトの困難さが困難で、こんなんなるまで頑張ってお母さんでもあなたの家庭ね、模型のように上手く行きませんね?
本作“ミッドサマー“にも言えるけれど、アリアスタークいやアリ・アスター監督はレクイエム・フォー・ドリームにまさる、バッドトリップの使い手である。
たとえばホルガに着く手前のちょっとした丘でウィードを吸引する場面がある。キノコのお茶も飲んだのかな?
ダニーが突然立ちあがり
「周囲を歩いてくる」
コレなんて、完全にバッドに入りつつあるのである。
その予兆を感じたダニーは経験者らしく振り払おうとするものだ。だからこんな子連れてくんなって。。
ヒッピー的な思想に本質的な理解がある。たとえば感情にヒビが入って死にたい。あーーでも皆でそれを苦しむことで、
不思議と苦しみは分散される。
感応し、ひとつになることで、少なくとも僕らは実存の孤独からはおさらば出来る。
現代の都市生活者がいくらそれを不気味がろうと、ある意味どれだけ時代が進展してもここにある古きモノには勝てない。
劇中の舞台となる村、ホルガは不思議な場所だ。胡散臭く、美しい。絶対に行きたくない。
すべてがわりと野晒しだ。生を象徴する咲き乱れる花々と、死が同じ場所にぶち撒けられ、美しく圧倒的な暴力に身がすくむ。バタイユが草葉の陰から見てる。
自然を克服するべきもの見るキリスト教がこんな村見つけたら、焼き払いたくなる気持ちも分かる。
だっておぞましいもの。