「日常の隣りにある殺人の普遍性を徹底、あなたの倫理観もバグるはず」羊とオオカミの恋と殺人 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
日常の隣りにある殺人の普遍性を徹底、あなたの倫理観もバグるはず
終始「思ったよりフツーかな…」って思って見てたけど、ラストにかけて何故かヒリヒリした。笑 映画好きが唸るのも納得だけど、ちょっとハードル上げ過ぎちゃったかも。
ういー、って言わない福原遥とランドセルを背負っていない杉野遥亮が主演。自殺すらできなかった大学生の黒須が出会ったのは、殺人を生きがいとする宮市さん。序盤から倫理観を揺さぶってくるかと思えば、こちらもだんだん慣れてきちゃって、ほぼ黒須の感情を追体験。同時に、小さい範囲で動く物語なので、観やすいのも特長。ただ面白いだけでなく、ラブコメとしての要素を、殺人と表裏一体にすることで生まれた、バグった倫理観を味わえる。そこにハマったりハマらなかったり…。彼女のルールや顔に翻弄されながら、殺人鬼の彼女にハマっていく。
コンビニやアパート、敵のアジト…数数える程度でのロケーションも面白い。殺人という非日常を、いとも簡単に日常と隣り合わせにしてしまう。その器用さが、演出や演技にも滲んでいる。ラストシーンは見事で、あれがなかったら結構悲惨な気がする。不思議な感覚のする映画で、これからも定期的に観たくなる気がする。
映画好きも唸るのも納得の1本。不思議な感覚のする映画ながら、あえて特異なギミックを排除したのが魅力。これはクセになる。
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