「全部に媚びようとした結果がこれか」映画ドラえもん のび太の新恐竜 サカモトさんの映画レビュー(感想・評価)
全部に媚びようとした結果がこれか
感動的なシーンにありそうな絵と、流れてそうな音楽、それっぽい台詞。感動して下さいと言わんばかりの要素が詰め込まれていましたが、全部上辺だけです。道理が通っていないので心に響きません。
「劣った者は頑張って人並みにならなきゃ」「根性持って苦しめば道は拓く」
時節には合わないと思いますが、一概に悪いと言えるメッセージでもないとは思いますよ?でも小学生が他者に無理強いする形で描かれたら、それは悪いものに映ります。迎合するべき集団も排他的な面しか強調されていないなら尚更です。
要はメッセージが良いものと思える描き方がなされていないのです。
ファンが喜ぶような台詞、展開は多々ありました。しかしそれらは話の流れを無視して無理矢理入ってきているので、一ファンとしても首を傾げてしまいます。「 これでファンは喜ぶだろう」といった安易な考えが透けて見えますし、ファンでない人からしたら、作品にとってのノイズでしかないのではと思ってしまいます。
新秘密道具も、わざわざ新しいものを出した意味が分からないものばかり。いかにも映画のマスコットにする為に登場したという感じのロボットなどが出ますが、しかし扱いはとても悪いです。
総じて、あらゆる層にウケそうな要素を上辺だけ取り入れ続けた、空虚な作品という印象です。
上っ面は綺麗ですし、娯楽品としては間違っていないと思いますが、好きにはなれません。
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