「根性論映画」映画ドラえもん のび太の新恐竜 山上辰雄さんの映画レビュー(感想・評価)
根性論映画
まずのび太が卵の化石を見つけたきっかけがその辺に落ちていた石というのがなんとも、もう少し自分で調べて探したりしないのでしょうかもしくは研究員の方は自分で全く気がつかないのですかね。
そしてジャイアンとのび太達が分かれて辺りを探し、のび太達のみが仲間のいる島に到着したものの夜になるまでジャイアン達が合流しないことに誰も言及せず、のび太は崖から落ちてたくさん傷ついているキューを何度も何度も飛ばせようとしてさらにボロボロにする、根性論で解決しようとするのび太。こんなのび太は見たくありませんでした。
それにそれを全く止めようとしないドラえもんとしずかちゃん。暴力を振るうコミュニティに入るために傷つきながら努力するという方向への転換に納得がいきません。
そして途中から出てきた大きな翼竜に関しても途中でプテラノドンの群れが怖がるほど非常に大きな影をのび太が見る意味深なシーンがあり、これは深くストーリーに関わってくるものかと思わせて特に翼竜の名前も出ず割とあっさりとスモールライトで小さくしておしまい。なぜあの恐竜だけ単独で非常に大きかったのか謎が残ります。
ラストシーンもとにかく勢いで物語を畳もうとしているようにしか感じられず「え?これで終わり?」と思いました。最後のキューは進化では無いですしあそこは進化したではなく成長したと表現すべきだったのではないかと思います。最後のシーン以外でも滑空しかできないはずの新恐竜達が明らかに飛行していましたし、努力やのび太への思いやりで「進化」というのは納得がいきませんし、「成長」の方がしっくりきます。
悪者だと思っていた人物が実はタイムパトロールだったという展開がありました。ジャイアン達が司令室のような場所を盗み聞きした会話からこの人たちはもしかしたら悪者ではないのではないかと察することは出来ましたが、その前にあった恐竜の剥製は何だったのでしょうか。また、なぜジャイアントスネ夫に身分を明かして協力を仰がなかったのでしょうか。
チェックカードに関しても恐竜を生き延びさせるのにジャイアンとスネ夫も大きく関わったわけですから2人に反応しなかったのは何故なのでしょうか。のび太とキューの思いが歴史を変えたと言うのならやはり「進化」というのには納得がいきません。
ピー助の登場に関しては僕はそこまで悪いこととは感じませんでした。
そこまで深くストーリーに関わってきたようなシーンではありませんでしたし、あくまで子供向け作品の14年前の作品のファンへのファンサービスとしては整合性云々に関してはそこまで気にしなくても良いかなぁと思います。熱風後に生き残っていたのも海中生物は難を逃れることができたということでしょう。
全体としては過程を飛ばして根性論で無理やり片付けているようにしか思えません。