「PVが1番面白かった」映画ドラえもん のび太の新恐竜 須藤栞さんの映画レビュー(感想・評価)
PVが1番面白かった
感想を一言でまとめると、レビュータイトルです。
私はドラえもん映画が公開されたら、まあ観るか〜で観てるって程度の人間です。
ドラえもんガチ勢では決してなく、「面白かったなあ」ぐらいに毎年楽しんでいます。
でも、今回はじめて「うーん…どうなんだこれは…」となりました。
まず、よかったなと思う点。
惰性鑑賞勢でも、やっぱりピー助で「おお…」となります。
勝手に過去作は無いものと思いながら毎年観るので、まさかあんなにガッツリくるとは思わず驚きました。
あと、キューとミューが可愛い。キャストを調べずに行く人間なので、エンドロールでミュー役にエッとなりました。全然わかんなかったー。
相変わらず作画はいいし、細かい部分でクスッとできて、ドラえもん映画は好きです。
ラストの作画は特に迫力がありました。
主題歌、血が湧き上がる曲調ですごく好きです。
次にうーん…な点。
まとめると、展開に雑な部分が多すぎて、ストーリーにあまり納得できませんでした。
まず観に行く前の印象。映画PVを観たとき、「避けられない、悲しい運命と知った上での別れ…これはロボとーちゃん並みに重いテーマになりそう。一体どうなるんだ。めっちゃ面白そう」と思いました。ミスチルの主題歌めっちゃ良かったし。
私の中で期待が高まりすぎたのかもしれません。
実際見てみると、初っ端の化石触ってぶくぶくの伏線は見終わった今もよくわからんわ、博士?教授?はあんなにのび太くんが不審な質問しまくるのに深くは介入してこないわ、しずかちゃんはまだわかるけど、のび太くん、キューとチョコ分けるのはさすがに考えなしすぎでは…?、チョコの制限1時間要素要らなくね?てか1時間とっくに超えてね??…等々疑問点の方がぶくぶく止まらない。
私は本職以外の方のゲスト声優起用には全然抵抗ありません。その方がむしろ素敵な場合も
あるので、どんなに不安な人でも絶対観てから判断します。でも今回は「あんなに脚本上で必要性と魅力と力のないキャラに、演技力そこそこの人使っちゃって…これはもう悲惨だな」が結論でした。キャラデザはとても素敵です。特に女性キャラの方は本職の中堅やベテランが演じれば、脚本で魅力がなくとも、もう少しマシだったと思います。演技力そこそこの人なのは知ってる。でも声あてたのが、脚本上で「えっ??????めっちゃデカい顔してるのに、使えなさすぎじゃない????????」程度の印象で、まだデカい鳥のがちゃんと役割してたわレベルのキャラクターだったのが本当に災難。使うべくところが見えてればすごく面白い人なのに…直美さんの使い損にしか感じれなくてため息。木村さんは好きな方には申し訳ないのですが、もともとあまり演技が好みじゃない方なのでノーコメント。その木村さんの男性キャラとあの博士みたいな人に繋がりありそうだけど、特に描写はなし。小野大輔ですごい重要人物感出しておきながら、そこは別に何もないんかい…。
キューの最後の努力も、観ながら「うーんと思う人いそうだな」とは思いましたが、一応キューがなんとしても飛ばなきゃいけない理由は飲み込めます。努力も大事ですよね。でも、生死と逆上がりは理由に迫る重たさが釣り合ってない気がしてなりません。あの世界観の小学5年生が、生死が掛かる局面に遭遇するのもリアリティが欠けますが、逆上がりできなくても人生大体困らないのは確かすぎる。今の「『できない』も認めていこうぜ」という時代に、生死と逆上がりでは納得できない人がいると思います。それに、キューがのび太くんが逆上がりできないのを知らない以前に、逆上がりすら知らなそうな生き物相手に、説明なしでのび太くんが何やってるのか、頑張ってるかどうかがわかるのかも気になって仕方ない。
事件の収束のさせ方も強引に感じました。あのジオラマのあたり、地質とかすごいことなっちゃうんじゃないの???ならないのかな???うーーーーん、描写不足と知識不足でよくわからん。
ドラえもんは世界観上、かなりご都合展開が許されやすい作品だと思っていたのですが、疑問が重なりすぎた結果、私は納得も感動もできませんでした。
涙脆いので、泣くスタンスで観に行けば大抵泣けるのですが、涙一滴も出て来ず終わりました。同じ脚本家でも、去年大泉洋で死ぬほど泣いたのに…。
今回は脚本の細かい雑さが多すぎたのと、その雑さが気にならなくなるような良い面が少なかったし、あっても目立たなかったのだと思います。
良かった面がゼロではないし、結局は惰性鑑賞勢の感想に過ぎないので、ドラえもんガチ勢の友達の感想も是非聞いてみたいです。
多分私の見えてない部分が見えてるはず。
来年も楽しみにしてます。