劇場公開日 2019年12月13日

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「ジュマンジの包容力(老いも若きも)」ジュマンジ ネクスト・レベル つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ジュマンジの包容力(老いも若きも)

2025年8月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

前作で無機物とは思えない世話焼きぶりを発揮し、高校生たちに新たな可能性の扉を開いたジュマンジ。今作ではその面倒見の良さを更に磨いて、人生の冬に差し掛かったおじいちゃんたちをもジュマンジワールドに召喚した。

アクションもキャラの入れ替わりもレベルアップし、続編の強みを活かして設定説明部分もテンポアップ。
続編だから出来る「お約束」も盛り込み、おじいちゃんを巻き込むことで「ジュマンジ」を楽しめる対象年齢を拡大。
まさにネクスト・レベルと呼ぶにふさわしい野心あふれる続編だ。

前回はヘタレのスペンサーがロック様の上腕二頭筋に感激したのに対し、今回ブレイブストーン博士になったのはエディおじいちゃん。
「股関節の調子がいい」と腰を回すロック様に、年齢が違うと感動ポイントも変わるのだなぁ、と妙な納得感。逞しい事より、体が軽い事の方が大事なのである。

今回の入れ替わりMVPはエディの旧友・マイロが中身のケビン・ハート。喋りが完全にダニー・グローバーなのだ。一緒に見ていた夫は「途中までグローバーの吹き替えだと信じてた」そうで、まぁそう信じたくなる気持ちもわかりみが深い。

そもそもジュマンジに再びログイン(?)するきっかけはスペンサーなのだが、「絶対に友達になんてならない」属性の親友たちに対して卑屈になってしまったのが原因である。
自惚れギャルだったベサニーはボランティアで世界を飛び回り、幼馴染みのフレッジは学業も部活も絶好調。恋人のマーサは大学生活でどんどん垢抜けていく。
NYで大学生活をスタートしたものの、相変わらずヘタレでパッとしない自分だけが、何か取り残されてしまったような気がしてならない。「ジュマンジ」をクリアするために必死になっていた時の高揚感や、一体感、自分は出来るという自己肯定感はどこへ行ってしまったのだろう。
皆の成長を感じるからこそ、皆の魅力を感じるからこそ、皆のことが好きだからこそ、自分に自信をなくし、自信の湧き出るブレイブストーンにもう一度なりたい、と思ってしまう気持ちには痛過ぎる共感しかない。

そこで今回ジュマンジ先輩が用意したのは、「成長とは右肩上がりと同義かな?」というお題である。
子供の頃は「成長」とは進化だが、大人になったら「成長」は退化でもある。もちろん心や知見は大人になっても成長するが、体細胞の変化に関して言えば、細胞分裂の先に待っているのは当然「老化」なのだ。
エディは冒頭で「年をとるのは最悪の出来事」と語るが、年々不自由になっていく体にやるせない気持ちになるのは皆同じ。成長は必ずピークアウトするのである。

頑張っても頑張っても、ピークを過ぎた後は上手くいかないことが増えていく。頑張る方向を変えたり、頑張らないことを決めたりしなくてはならない時が来る。
頑張れば何でも手が届く、というメッセージに対して「実はそうじゃない」と言うのは難しい。今までずっと頑張る事が成功への鍵だと教えられてきて、今更努力だけではどうにもならない、なんて言われたら、人は混乱し、不安に苛まれ、怒り狂うだろう。「騙された!」と思う人だっているに違いない。

頑張ったて無駄だよ、と言いたいわけじゃない。頑張っても駄目なこともある、頑張れないこともある。でも手が届かなかった自分を否定しなくて良いんだよ、と伝えたいのだ。
もう頑張れない、という自分を許してあげよう、と伝えたいのだ。
そして、良い時も悪い時も一緒に過ごしてくれる人が本当の恋人であり、友人であり、仲間なのだ。
変な勘違いも発生するような、この難しいメッセージを、どうやって届けるのか。「ネクスト・レベル」はこの難しいチャレンジを見事に成功させたと思う。
さすがは無機物界の世話焼き王・ジュマンジ先輩である。

スケールアップしたジュマンジ先輩は、まさに「ネクスト・レベル」と呼ぶに相応しい活躍ぶり。ジュマンジ先輩はもしかしたら、世界中のお悩みを解決するつもりなのかもしれない。
今ジュマンジ先輩のお世話を必要としているのは、もしかすると…。
あ、エンディングってそういう意味なの?!

つとみ
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