「題材が映画に向いていなかった」キャッツ andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
題材が映画に向いていなかった
酷評は聞いていたし、ファーストルックは正直私もキモいと思った。いやいやキャッツはキャッツだけどそっちじゃねえよ。
しかしなあ、映画化するならああいうビジュアルにするしかないよね、という制作陣の気持ちもわかる。VFXが発展してなかったらミュージカル版と同じく「コスチューム」でいけたんだろうけど、この時代、映画でやるなら他に選択肢はない...いわば技術革新がこの奇妙な「キャッツ」を生み出してしまった訳だ。
個人的には皆が酷評するほど酷いとは思わなかったが、まあ、正直、映画でやる必要あったかなとは思う。そもそも元が詩であり、それがミュージカルになった点で元が長編小説であった「レ・ミゼラブル」とは別ものなのだよ...。
生で舞台で観た時に説得力があるものを、映画にそのまま持ってきても意味はない。そこは場面転換と映像で頑張って工夫しているのはわかる。わかるが。「がんばったね」とは思うが心に来ないのだ...。
特に序盤の顔見せがかなり退屈だ。「早くジュディ・デンチ出てこいよ!」と思ったのは私だけなのか。
歌もダンスも素晴らしいのだが、映画にするには決定的にストーリーが不足しているというか、行儀が良すぎて小さくまとまりすぎというか。
結論としては「キャッツ」無理に映画化しなくても、という身も蓋もない結論になってしまう。
ジェニファー・ハドソンの「Memory」はすごかったですね。いやもう歌を超えた演技。ああいう風に聴かせるのかあの歌。勉強になった。あとイアン・マッケランはさすがとしか言いようがない。ジュディ・デンチもだけど大御所ここにありみたいな。それにしてもイドリス・エルバは扱い雑じゃない...?
フランチェスカ・ヘイワードさんは意外と猫スタイルが似合う。