アルプススタンドのはしの方のレビュー・感想・評価
全185件中、1~20件目を表示
特別じゃない人たちの熱い青春
本作は、そもそもは部員4人だけの高校演劇部のための戯曲だったそうだ。書いたのはその演劇部の顧問の先生だったそうだが、大変センスがあるし、生徒のことをよく観察している人なんだろうと思う。タイトルに「はしの方」とあるが、まさにクラスの中心にはいられないタイプの高校生たちの「はしっこ」の青春のリアルがよく描けている。
映画はアレンジを加えて登場人物を増やしているが、メインの4人のはしっこぶりがさらに浮き彫りになるように的確なアレンジだ。
秀逸なのは、舞台がアルプススタンドのはしに限定されていて、試合の模様を一切映さないにもかかわらず、熱戦の模様が伝わってくること。野球部の面々がすごくカッコよく思えてくるのが不思議な感覚だ。
甲子園のような華やかな場所にだけ青春があるわけじゃない、スタンドのはしっこにもちゃんと青春はあるし、熱さもある。スポットライトに無縁な人たちの熱き青春を見事に描いた素晴らしい映画。
スカした人間も熱くさせる映画のちから
自分はスポーツに情熱を傾けたことがなく、集団的熱狂も苦手なので、おそらくこの映画の主人公たちと同じく、野球部の応援に駆り出されても「スタンドのはしの方」に座っていただろう。とはいえ、だからといって主人公たちに簡単に感情移入できるわけではない。4人の高校生たちは、試合の熱狂に乗り切れない鬱屈を抱えてはいるものの、自分たちの鬱屈と向き合って、次第に熱狂を手に入れていく。こちとらそんなに素直には出来ていないのである。
なんなら、まっすぐでよくできたお話だと思う。そして「まっすぐでよくできた」と感想を持った時点で、やはり見方が相当にスカしている。正直、あまりに評判が高いので劇場に行ってみたものの、入る店を間違えてしまったかと、自業自得を呪いそうになった。
ところが、熱を帯びて応援の声を上げ始めた四人を、カメラが引いて応援する他の生徒たちや観客を一緒に映すようになった瞬間、思いがけず熱いものがこみあげてしまった。まんまとこの映画に乗せられて、なんとも気持ちいい後味だった。
クレジットで、直井卓俊かよ
さり気ない学生時代の想いが全部詰まってるような、そんな作品。ただラストのその後はいらなくて、少しも映らなかった野球部が、負けて一瞬だけ映ったりしたら、天才!と思っただろう。
「あの娘が海辺で踊っている」とかを連想していたら企画・配給に直井卓俊がいんのかよ!サマーフィルムにのってにしても、これ系大体この人が関わってんのかってぐらいだ。べギーズが主題歌なのも、そのまんまだった!
死因ファールボール
「しょうがないよ」
の、一言が冒頭
アスハとヒカルのダラダラトーク
全員強制応援に文句を言いながら人の少ない端っこに腰をかける。
野球なんて興味ないどころかルールすら知らない
取ったように見せてて落としたとか…?
迷宮入りだね…
そこに現れるのは元野球部のフジノ
少しずつ彼女達の質問に答えてつつやはり彼がいるのも端っこ。
野球部って偉そうだよね〜
そうそう…って顔をするフジノ
逆に演劇部の彼女達に話が向けられると急にぎこちなくなるヒカル
演劇部はいいところまでいってたが「しょうがない」述べるアスハ
フジノは元野球部だよね?
野球部にはエースのソノダがいる、そして自分より下手くそでも必死にがんばるヤノがいる。きっと態度のデカい奴らもいてたのであろう。
どちらにもなれなく部活を辞めた「しょうがない」
同じく端っこに立ち試合を見つめる真っ白な肌、いかにも「勉強枠」のミヤシタ。
こっそりエースのソノダに想いを寄せる彼は実は彼女持ち!
彼女は定期テストで1位常連のミヤシタを初めて2位に落とし1位を勝ち取ったブラバンの部長クスミ
彼女はいわゆるカースト上位
成績優秀、ブラバン部長、友人も多く、彼氏は有名人でしかも美少女
コミュ力もなく、自分にあるのは勉強だけ…それも奪われてしまった。
「しょうがない」
演劇部の大会で関東大会に出るはずだった時、インフルエンザにかかり出場できなかったことに負い目を持つヒカルにアスハが声をかけるのも「しょうがない」
熱苦しく声を張り上げ、端っこに座る彼女らに何度も一丸となって!と述べる先生。
そんな先生に逆ギレして、先生が応援したい場所はコーチ席でしょ!とミヤシタ。
確信をつかれてもそれを落とし込み、応援に拍車をかける大人である先生。自分に言い聞かせるように声を張る。
大人と子供の対比となって良かった。
大人は人生経験により「しょうがない」を受け流すことができる。上手く切り替えすことができる。
まぁ、できないこともあるんだけどね。
しかし、子供である彼女達は?
たくさんの「しょうがない」を受け止め、発散させる術を持たず体内にブスブスと悪く燻らせる。
後半からの会話はまるで彼女達の言葉が送りバントのようにお互いがお互いの一言により相手を塁に進めはじめる。
美少女クスミ
カースト上位でなんの悩みもないようでも彼女にも燻る何かがある。「しょうがない」
きっと応援演奏に彼氏の事を絡めて理解を示してくれない友人の事だろう。
それをミヤシタにぶつける。
全く場面が映らず「トレイントレイン」の曲で存在をアピールするソノダと下手くそだったのに送りバントとして登場し、大きな声援を受けたヤノ。
この野球部は「桐島、部活やめたってよ」みたいに存在しない存在感を持って彼女達の感情の変化を顕著にさせる。
いつの間にか並んで応援する4人。
立ち上がり声を張り上げ応援する
少しずつでも必死で野球部を前に進めようとする彼女達
願いは虚しく敗退となるも、たった一試合9回という短い時間で「しょうがない」を乗り切った。
トランペット(クスミ)に負けてるだろ!!
言われたミヤシタ。
負けじと声を張り上げ、最後にクスミにエールを送る
晴れやかな顔のクスミ。横にはやる気のあまりなかった友人の悔し泣き。ここでクスミも「しょうがない」を乗り越えた。
ここはとても印象に残った。
ありがとーーーー!!!と叫ぶ。
これが青春
ちなみに、プロには全く興味のない私でもこんな青春が詰まった高校野球は大好きです。
演劇を観たい
場面が演劇的にある程度固定されています。内容的にはよくできていると思いますが、どうしても演劇だったらこんな演出かなと考えながら見てしまいます。むしろ演劇で見たかったと思ってしまう点では映画としてどうかなという感じです。
代打センター◯◯
今回ようやく観ることができた、しかも城定監督作品
もとは高校演劇作品だったのですね
野球に興味がなく、
無理やり駆り出されたようなはしっこ生徒たちによる会話劇
部活や勉強、恋愛で挫折や悩みを抱えた4人
最初から最後までクスクス笑いができました
序盤は盛り上がりが今ひとつかなって感じでしたが
野球の熱い応援とともに会話も盛り上がって…
観て損は無いと思います
応援すること、のもつチカラ
見落としていたこの作品を観ることができた今日は2024年7月31日。今年の夏の甲子園大会の出場49校が昨日までにすべて決まった。選手、応援団、観客の熱い夏はこれからはじまる。
元々は高校演劇大会用に書かれた戯曲であるらしい。どこかの地方球場でのロケとセットによる撮影であり甲子園球場のアルプススタンドの迫力はとても再現できていない。でも、アルプススタンドの「はしのほう」と「まんなか」を交互に映すことにより徐々に応援する熱が高まっていく姿はうまく演劇的に表現できている。
「はしの方」にいるのはまず安田、宮田の演劇部員二名。この二人は野球を全く知らず、トンチンカンなやり取りが笑いを誘う。そこに野球部をやめた藤野と、勉強一筋のメガネ娘宮下がやってくる。
「まんなか」には吹奏楽部長の久住と吹奏楽部員の女子二名。そして画面には出ないがグラウンドではエースの園田や補欠の矢野が強豪校と戦っている。彼らには、それぞれ因縁があり、「はしの方」の四人は最初、試合を応援するつもりはまったくない。ただ教師の厚木を含め、それぞれがぶつかりあっているうちに、だんだんグラウンドの園田や矢野を応援する気持ちが高まってくる。最初はさめているだけに終盤の熱量との振り幅が大きくアルプススタンドの一体感が熱く熱く伝わってくる。
甲子園のアルプススタンドは観戦する場所ではなく応援する場所。ひとがひとを真っ直ぐに応援するとどれほどのパワーを生むことができるのかを端的に見せてくれて素直に感動する。
青春映画で有名な俳優とかアイドルが出てないというのは好きですが、 ...
青春映画で有名な俳優とかアイドルが出てないというのは好きですが、
なんかやっぱりセリフとかストーリーが白々しい。
輝いていない彼女たちの青春が輝く
Huluで鑑賞。
原作戯曲は未鑑賞です。
私の高校時代はと言えば、正直パッとしないものだったと思います。何かと言えば主役になる部活はやっていませんでしたし(科学研究部所属)、キラキラには程遠かったです。
だからこそ、アルプススタンドの端っこにいる彼女らに親近感が湧きました。「特別」にはなれない私たち。悔しいくらいにリアルで、自分の高校時代のあれこれを思い出しました。
バッターが打った球が飛んで来てもファールになるスタンドの端っこで、これまた青春の端っこにいる高校生たちの青春が俄かに輝き出す。しょうがないことなんかひとつも無い!
キラキラした熱狂に乗り切れずどこか冷めた目で見つめていた感じの彼女たちが、次第に自らその熱狂に身を投じて、声の限り一生懸命応援する姿にこちらまで熱くなりました。
心の中のモヤモヤした感情に向き合い発散させる様は、眩しいくらいに爽やかで、瑞々しい魅力に満ち溢れており、後味最高。変化球のようでど直球な、素晴らしい青春映画でした。
[余談1]
野球の試合のシーンは一切無いのに、試合の白熱が伝わって来るのが素晴らしい。野球部員は園田くんや矢野くんなど、名前しか出て来ないのに、彼らの勇姿が目に浮かぶようで只管カッコいいと思いました。試合のボルテージが上がると共に、端っこの青春の輝きが増していくのも良い演出でした。
[余談2]
兵庫県立東播磨高校演劇部の戯曲が原作とのこと。
兵庫県民として誇らしいです。
脇役に光を!
イヤー面白かったです。試合に出ている人とスタンドで声援を送る人、思いを込めた声援の力が如何に重要か、脇役に光を当てたスゴイ作品。暑苦しいけど厚木先生イイ味出してましたねー。(^^) 主題歌も素晴らしかったです。ペギーズ無期限活動休止なんですね。残念です。
しょうがない、じゃないんだ
グラウンドや試合の模様が一切映らない。
実に面白い。
「アルプススタンドのはしの方」での会話で、想像する。
だって主役は、スタンドにいる高校生だから。
高校生活の3年間で、何に勝って何に負けたか。
そんなの関係ない、と大人の今はわかるけど。
渦中にいるときはわかんない。落ち込むことばかり。
自分のあの甘酸っぱすぎる3年間を、思い出しました。
野球音痴の演劇部二人、その気合いの無さ加減がまたいい。
わからないなりに応援できるのも、野球なんだろう。
最後はちょっと保護者気分で、涙浮かべました。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「人生は、送りバント」
モブでもいいじゃん!楽しもう!
まず、有名役者は誰一人いないのに、演技力は抜群!とても自然。
それに、場面は球場のみ。ほぼアルプススタンドのはしの方笑
たまに、アルプススタンドの別席やトイレ前など。野球観戦なのに球児は一切映らない!なのに話がつまらなくないのは拍手。
舞台脚本なだけあって、ほぼ会話でストーリーは進む。
元野球部男子、二人の演劇部の女子、成績トップで友人のいない大人しい女子の主に四人の会話。
そこに、たまに先生やカーストトップの女子も混じりながら、四人の関係や心情が変わって行くのがおもしろい。
四人みたいに、キラキラしてる同級生を横目に冷めた目で見てた。そうしないと、自分が保てなかったから。
でも、大人になってみると、はしにいる地味な子たちもキラキラしてる。
あの子みたいになれないと卑屈にならないで、素直に応援出来たら気持ちよかったんだろな。
応援してるの見るのって気持ちいい!自分が応援するのはもっと気持ちいい!
主役になれなくても脇役どころかモブでも、一緒に熱くなってみるのもいい!と思えた映画でした。
高校野球には全く興味が無い。また、過剰な野球応援は不快に感じる。
兵○県立東○○高校の舞台自体を旧国営放送の演劇で見た記憶がある。また、三年くらい前に吉祥寺の小さな映画館で鑑賞した。今回は暫く振りの二回目の鑑賞になるが、映画と舞台の違いが分からなかった。
設定は凄く面白いとは思うが、ストーリーの流れは教師が考えた内容になっていると思った。つまり『頑張れば報われる』と無理に語っている。在り来りの流れだと思う。『高校野球』そのものに魅力を感じない者には『どうでも良い話』だ。さて、どう評価すべきか?
個人的に高校野球には全く興味が無いし、その応援に至っては不快に感じる。だから、二回目の鑑賞に於いて、評価はこの程度。
はじっこの方は社会の縮図
プロットが良い、本当にスタンド側だけでグランドはじめ試合の様子がこれっぽっちも出ない‼️
応援にさほど興味を持た無い、
男子女子の気持ちの移ろい様子が普段使いの言葉で語られる。
当事者、関係者から離れた「世間」と言う構図に思える。
陽炎
演劇で観るのがベストなんだと思う しかも学生時代に観ることがマスト まぁ、自分は真逆な学生生活送っていたから、「ハイハイ」って感じだったけど(苦笑
いずれにしても、こういう登場人物達が報われる世の中になって欲しいし、自分のような人間には一刻も早くプラン75(75才に限らずいつでも)を施行して欲しいと切に願う・・・
ポジティブな「しょうがない」を持ちたい
甲子園一回戦に半ば強制的に応援に参加した、アルプススタンドの端っこにいる四人の話。
高校野球映画なのに野球のシーンはゼロ。なんなら全く関係ない話が半分以上。だけど高校野球じゃないといけない気がする。
「しょうがない」がテーマ。しょうがないと思うことはいっぱいあるけど、自分のできる最低限、いや最大限をするべきだなと思う。
あまり「努力=正義」みたいな他人からの説教は好まないけど、自分中で折り合いのついた努力は大好き。矢野くんみたいな。
全185件中、1~20件目を表示